文献詳細
増刊号 臨床力UP! 耳鼻咽喉科検査マニュアル
Ⅵ 腫瘍の検査
文献概要
●目的
・癌の補助診断:癌の診断は組織診で確定されるが,腫瘍マーカーが陽性で,特に高値の場合は癌である確率が高い。
・癌治療の効果判定:放射線治療,化学療法の効果に伴う数値の変動を確認することで効果判定の補助手段として活用される。
・癌治療後の経過観察の指標:腫瘍マーカーが陽性である症例に根治治療が行われた場合,治療後にその数値は陰性化する。陰性化が認められない場合は腫瘍の残存が疑われる。また陰性化後の経過観察中に陽性化した場合は,再発や転移が疑われる。
●対象
Squamous cell carcinoma antigen(SCC抗原)は頭頸部がんを含む扁平上皮癌の腫瘍マーカーとして保険適応となる。Cytokeratin fraction 21-1(cytokeratin 19 fragment,CYFRA)はSCC抗原との相関はなく両者を組み合わせることで再発の早期発見に有用と考えられているが,保険適応は小細胞癌を除く肺がんのみである。
Thyroglobulin(Tg)は甲状腺がん,甲状腺腺腫,バセドウ病,腺腫様甲状腺腫,橋本病が,抗Tg抗体は橋本病,バセドウ病,甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症,甲状腺腫,甲状腺がんがそれぞれ保険適応となる。抗Tg抗体が陽性の場合,実際のTgが高値であっても測定上低値を示すことがある。甲状腺がんでは20〜30%で抗Tg抗体が陽性のため,両者を同時に測定する必要がある。
Carcinoembryonic antigen(CEA)は大腸がん,胃がん,食道がん,肺がん,膵がん,胆管がん,膀胱がん,卵巣がん,肝がん,乳がん,甲状腺がん,子宮頸がん,その他腺癌,家族性大腸ポリポーシス,大腸腺腫症,転移性腫瘍が保険適応となる。
Soluble interleukin-2 receptor(sIL-2R)は非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma:NHL),成人T細胞性白血病(adult T cell leukemia:ATL)が保険適応となる。
・癌の補助診断:癌の診断は組織診で確定されるが,腫瘍マーカーが陽性で,特に高値の場合は癌である確率が高い。
・癌治療の効果判定:放射線治療,化学療法の効果に伴う数値の変動を確認することで効果判定の補助手段として活用される。
・癌治療後の経過観察の指標:腫瘍マーカーが陽性である症例に根治治療が行われた場合,治療後にその数値は陰性化する。陰性化が認められない場合は腫瘍の残存が疑われる。また陰性化後の経過観察中に陽性化した場合は,再発や転移が疑われる。
●対象
Squamous cell carcinoma antigen(SCC抗原)は頭頸部がんを含む扁平上皮癌の腫瘍マーカーとして保険適応となる。Cytokeratin fraction 21-1(cytokeratin 19 fragment,CYFRA)はSCC抗原との相関はなく両者を組み合わせることで再発の早期発見に有用と考えられているが,保険適応は小細胞癌を除く肺がんのみである。
Thyroglobulin(Tg)は甲状腺がん,甲状腺腺腫,バセドウ病,腺腫様甲状腺腫,橋本病が,抗Tg抗体は橋本病,バセドウ病,甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症,甲状腺腫,甲状腺がんがそれぞれ保険適応となる。抗Tg抗体が陽性の場合,実際のTgが高値であっても測定上低値を示すことがある。甲状腺がんでは20〜30%で抗Tg抗体が陽性のため,両者を同時に測定する必要がある。
Carcinoembryonic antigen(CEA)は大腸がん,胃がん,食道がん,肺がん,膵がん,胆管がん,膀胱がん,卵巣がん,肝がん,乳がん,甲状腺がん,子宮頸がん,その他腺癌,家族性大腸ポリポーシス,大腸腺腫症,転移性腫瘍が保険適応となる。
Soluble interleukin-2 receptor(sIL-2R)は非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma:NHL),成人T細胞性白血病(adult T cell leukemia:ATL)が保険適応となる。
参考文献
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