耳鼻咽喉科・頭頸部外科89巻8号

2017年07月発行

特集 ここが知りたい！　高齢化時代の頭頸部がん診療

後期高齢者の手術適応

著者： 手島直則¹ 松本文彦¹ 吉本世一¹

所属機関： ¹国立がん研究センター中央病院頭頸部腫瘍科

ページ範囲：P.578 - P.583

文献概要

POINT

●後期高齢頭頸部がん患者の主たる治療方法は手術であり，手術による機能温存もしくはQOL維持が可能な治療戦略を立てる。

●後期高齢者における手術適応は，実年齢ではなくperformance statusや併存疾患をもとに判断する必要がある。

●進展範囲に応じて予防郭清の省略など柔軟な術式選択を行い，再建を要する際には可能であれば遊離皮弁の使用を検討する。

●後期高齢者の周術期管理においては重篤な術後合併症の発生があることを念頭に置き，注意深く評価しなければならない。

参考文献

1）総務省統計局：平成27年国勢調査　http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/index.htm

2）厚生労働省編：今後の高齢者人口の見通しについて　www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/.../dl/link1-1.pdf

3）厚生労働省ホームページ　http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life10/01.html

4）横島一彦・他：高齢頭頸部癌患者の診療に関するアンケート調査—頭頸部がん専門医の意識．日耳鼻118：1053-1057，2015

5）Nao EE, et al：Head and neck free flap reconstruction in the elderly. Eur Ann Otorhinolaryngol 128：47-51, 2011

6）日本頭頸部癌学会（編）：頭頸部癌診療ガイドライン　2013年版．金原出版，東京，2013

7）丹生健一：頸部癌診療ガイドラインにおける臓器温存の考え方．頭頸部癌FRONTIER 3：60-62，2015

8）林 隆一：高齢者に対する外科治療—頭頸部．日気食会報63：392-392，2012

9）吉本世一・他：低侵襲な治療を目的とした頭頸部癌手術．頭頸部腫瘍28：500-505，2002

10）別府 武・他：後期高齢者頭頸部癌に対する外科治療頭頸部癌．42：382-389，2016

11）Sarris EG, et al：Multimodal treatment strategies for elderly patients with head and neck cancer. Cancer Treat Rev 40：465-75, 2014