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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科89巻8号

2017年07月発行

文献概要

原著

頸部リンパ節腫脹にて発症した年長小児川崎病の3例

著者: 田中稔丈1 吉田友英1 本山治2 鈴木光也1

所属機関: 1東邦大学医学部耳鼻咽喉科学講座(佐倉) 2東邦大学医学部小児科学講座(佐倉)

ページ範囲:P.633 - P.637

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はじめに

 川崎病は,小児急性皮膚粘膜リンパ節症候群ともいわれ,1967年に小児科医の川崎富作によってはじめて報告されている1)。多彩な臨床症状をきたす疾患として知られており,しばしば診断に難渋する。診断とそれに続く治療の遅れによって,冠動脈病変が進展し致死的となることが知られており2),早期の診断が大切である。しかし,特徴的な臨床症状は初診時には認めないことが多く特異的な検査所見もないことが,本症の早期の診断を難しくしている。

 耳鼻咽喉科外来では,発熱・頸部リンパ節腫脹を主訴に来院する例が多いが,そのなかからできるだけ早期に川崎病を見つけ出す必要がある。われわれは,2012年4月から2016年3月までの2年間に,発熱・頸部リンパ節腫脹を主訴に来院した,年長小児川崎病症例3例を経験し若干の知見を得たため,文献的考察とともに報告する。

参考文献

1)川崎富作:指趾の特異的落屑を伴う小児の急性皮膚淋巴腺症候群—自験例50例の臨床的観察.アレルギー16:178-222,1967
2)JCS Joint Working Group:Guidelines for diagnosis and management of cardiovascular sequelae in Kawasaki disease(JCS 2013). Circ J 78:2521-2562, 2014
3)厚生労働省川崎病研究班:川崎病(MCLS,小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)診断の手引き.改訂5版,2002.http://www.jskd.jp/info/pdf/tebiki.pdf
4)屋代真弓・他:第23回川崎病全国調査成績.小児科診療79:273-292,2016
5)大木いずみ・他:川崎病全国調査に基づく主要症状の出現状況に関する初期と現在の比較.日児誌109:484-491,2005
6)April MM, et al:Kawasaki disease and cervical adenopathy. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 115:512-514, 1989
7)日本小児循環器学会(編):川崎病急性期治療ガイドライン 2003.http:jspccs.jp/wp-content/uploads/kawasakiguideline.pdf
8)Anderson MS, et al:Delayed diagnosis of Kawasaki syndrome:an analysis of the problem. Pediatrics 115:428-433, 2005
9)Tona R, et al:Risk factors for retropharyngeal cellulitis in Kawasaki disease. Auris Nasus Larynx 41:455-458, 2014
10)飯々谷七重・他:咽後膿瘍を疑われた川崎病の2例.小児耳28:223-229,2007
11)堤 裕幸・他:急性喉頭蓋炎と右頸部蜂窩織炎を伴った川崎病の1例.臨小児医48:137-140,2001
12)阿部 淳:最近の川崎病の病態と病因.小児診療13:1121-1128,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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