文献詳細
文献概要
原著
異なる周波数でdip型突発難聴を3回反復した聴神経腫瘍の1例
著者: 酒井昇1 白取謙一1 今石寛昭2 松浦聖一3
所属機関: 1勤医協札幌病院耳鼻咽喉科 2勤医協札幌西区病院耳鼻咽喉科 3松浦耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.639 - P.643
文献購入ページに移動聴神経腫瘍は聴神経から発生する良性の腫瘍である。聴神経のうち前庭神経から生ずるものがほとんどであり,蝸牛神経に由来するものは極めて稀である。したがってめまいを初発症状として受診することが多いと考えられるが,臨床的には難聴・耳鳴などの蝸牛症状で受診することが圧倒的に多い。その理由は腫瘍がゆっくりと増大し,かつその間に前庭の代償機能が働くためと考えられる。
一般に,聴神経腫瘍における難聴は腫瘍の増大に伴って徐々に進行する特徴があるが,なかには突発難聴で発症することも少なくない。突発難聴で発症する機序に関しては,蝸牛神経への急速な圧迫や血流障害が考えられている。今回われわれは周波数が異なるdip型の突発難聴を3回繰り返した特異な聴神経腫瘍の1例を経験した。本稿では症例の概要を報告するとともに,突発難聴を伴う聴神経腫瘍につき文献的なまとめを行った。
参考文献
掲載誌情報