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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科90巻1号

2018年01月発行

文献概要

特集 こんなときどうする? 術中・術後のトラブル対応 《耳領域》

鼓膜チューブが鼓室内に落ちた

著者: 小林一女1

所属機関: 1昭和大学医学部耳鼻咽喉科学講座

ページ範囲:P.6 - P.7

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●こんなとき…

【症例】72歳,女性。小児期より中耳炎を繰り返していた。

 数年前より耳漏を反復し近医を受診したところ,鼓膜の異常を指摘され当院を受診した。癒着性中耳炎の診断で,薄切軟骨を使用した鼓室形成術ⅢCを行った。術後1か月半後に長期留置用鼓膜換気チューブを鼓室前上象限に留置した。数日後より耳漏が出現し,鼓膜上に肉芽を形成した。チューブは確認できなかった。抗菌薬の点耳,内服加療により,鼓膜の肉芽は消失した。2か月後,鼓膜の透過性が回復すると,鼓膜直下に青いチューブと思われる異物を視認した。

参考文献

1)Hajiioannou JK, et al:Case of perilymphatic fistula caused by medially displaced tympanostomy tube. J Laryngol Otol 123:928-930, 2009
2)濱口宣子・他:鼓室内の鼓膜換気チューブ遺残が原因と考えられたコレステリン肉芽腫症の一例.Otol Jpn 25:740,2015
3)武藤俊彦・他:鼓室内に脱落した鼓膜チューブを摘出した4例.耳鼻臨床105:323-329,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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