文献詳細
原著
ニボルマブ投与後に生じた甲状腺機能障害の3例
著者: 横川泰三1 川浪康太郎1 坂下智博1
所属機関: 1市立釧路総合病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
ページ範囲:P.877 - P.882
文献概要
ニボルマブはヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体である。ニボルマブはPD-1とそのリガンドとの結合を阻害することで,がん抗原に特異的なT細胞の増殖,活性化を促進し,腫瘍細胞の増殖を抑制している1)。
本邦では2014年7月に切除不能な悪性黒色腫に対して使用開始となり,その後,切除不能な進行・再発非小細胞性肺癌や根治切除不能な進行または転移性の腎細胞癌などに適応疾患が拡大されてきた。耳鼻咽喉科領域では,再発または転移性頭頸部癌患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(ONO-4538-11/CA209141試験)が行われ,主要評価項目である全生存期間はニボルマブ投与群で7.49か月と,対照群の5.06か月に対して有意な延長を示した(ハザード比0.70,97.73%信頼区間:0.51〜0.96,
一方でニボルマブをはじめとするがん免疫チェックポイント阻害薬は,プラチナ製剤などの従来の化学療法で用いられてきた薬剤と作用機序が異なるため,出現する副作用も異なり,リンパ球の活性化に伴う自己免疫性機序に基づく副作用(免疫関連有害事象,immune-related adverse event:irAE)を経験することとなった。irAEの発現と抗腫瘍効果に相関性があると報告があり3),適切な副作用マネジメントによってよりよい治療成績が期待できる。
今回,当院でニボルマブを使用し,甲状腺機能障害をきたした3症例を経験したので報告する。
参考文献
掲載誌情報