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特集 見逃してはならない耳鼻咽喉科疾患—こんな症例には要注意! 《耳領域》
外耳道炎だと思っていたら外耳道癌だった!
著者: 太田有美1
所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
ページ範囲:P.990 - P.994
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患者は51歳,女性。縦隔腫瘍の精査のため他院でPET/CTを撮影したところ,左外耳道に集積を認めた。耳漏もあるため精査目的で紹介となった。
1年前から左耳内を綿棒で掃除すると耳漏が付き,痛みもあった。軽快と増悪を繰り返していた。
初診時,外耳道全周性に発赤,表面不整を認め,耳漏も認めた(図1)。外耳道から生検を行ったが,病理診断は異型上皮(atypical epithelium)であった。耳漏の細菌検査ではMSSA(methicillin-susceptible Staphylococcus aureus )のみ検出された。オフロキサシン(タリビッド®)の点耳など,保存的治療を行ったが外耳道の病変は改善を認めず,3か月後に再度生検を行ったところ扁平上皮癌(squamous cell carcinoma:SCC)の診断となった。
CTでは外耳道全周性に軟部組織の肥厚を認め,造影効果を認めた(図2a,b,d)。鼓室内,乳突蜂巣への進展はなかったが,外耳道の骨表面が一部不整であり,Pittsburgh分類のT2と判断した。MRIでは顎関節包との境界が不明瞭であった(図2c)。
外側側頭骨切除術を行い,顎関節包も一部合併切除した。
患者は51歳,女性。縦隔腫瘍の精査のため他院でPET/CTを撮影したところ,左外耳道に集積を認めた。耳漏もあるため精査目的で紹介となった。
1年前から左耳内を綿棒で掃除すると耳漏が付き,痛みもあった。軽快と増悪を繰り返していた。
初診時,外耳道全周性に発赤,表面不整を認め,耳漏も認めた(図1)。外耳道から生検を行ったが,病理診断は異型上皮(atypical epithelium)であった。耳漏の細菌検査ではMSSA(
CTでは外耳道全周性に軟部組織の肥厚を認め,造影効果を認めた(図2a,b,d)。鼓室内,乳突蜂巣への進展はなかったが,外耳道の骨表面が一部不整であり,Pittsburgh分類のT2と判断した。MRIでは顎関節包との境界が不明瞭であった(図2c)。
外側側頭骨切除術を行い,顎関節包も一部合併切除した。
参考文献
1)Moody SA, et al:Squamous cell carcinoma of the external auditory canal:an evaluation of a staging system. Am J Otol 21:582-588, 2000
2)Bacciu A, et al:Guidelines for treating temporal bone carcinoma based on long-term outcomes. Otol Neurotol 34:898-907, 2013
3)Arriaga M, et al:Staging proposal for external auditory meatus carcinoma based on preoperative clinical examination and computed tomography findings. Ann Otol Rhinol Laryngol 99:714-721, 1990
4)中川尚志:外耳道・中耳癌を見逃さないコツとpitfall.MB ENT 202:11-19,2017
5)太田有美・他:外耳道腫瘍性病変61例の検討—診断について.Otol Jpn 25:771-776,2015
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