文献詳細
特集 見逃してはならない耳鼻咽喉科疾患—こんな症例には要注意!
《耳領域》
急性中耳炎だと思っていたらANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)だった!
著者: 立山香織1
所属機関: 1大分大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
ページ範囲:P.996 - P.999
文献概要
患者は60歳,女性。右難聴を主訴に近医耳鼻咽喉科を受診した。急性中耳炎として抗菌薬の内服加療を行ったが改善せず,鼓膜切開術を施行したが難聴は改善しなかった。骨導閾値上昇の進行を認めたため,内耳炎を疑いプレドニゾロン(PSL)20mgを追加処方したところ,鼓膜所見,難聴の改善を認めた。ところが,1か月もすると再び右難聴が出現した。この際,再度抗菌薬とPSLを投与すると改善を認めた。
半年後,右顔面神経麻痺が出現した。このとき抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)は陰性であった。10日間のPSL内服加療にて,麻痺の改善を認めた。しかしそこから1か月後,右難聴が再燃し,37℃台後半の発熱と盗汗がたびたび出現した。右鼓膜発赤,右混合難聴(図1)と,CRP高値(15mg/dL),myeloperoxidase(MPO)-ANCA陽性を認めた。
参考文献
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