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特集 見逃してはならない耳鼻咽喉科疾患—こんな症例には要注意! 《鼻領域》
鼻茸だと思っていたら腫瘍だった!
著者: 識名崇1
所属機関: 1市立池田病院耳鼻いんこう科
ページ範囲:P.1014 - P.1017
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患者は70歳,女性(図1)。
1か月前から右頰部痛が出現した。近医歯科・口腔外科を受診し,歯科用コーンビームCTにて歯には問題がない右上顎洞炎と診断され,紹介受診した。既往症としてリウマチ,骨粗しょう症があり,メトトレキサート,ビスホスホネート製剤を内服中であった。
一側性の副鼻腔炎で,歯性副鼻腔炎ではないことから,腫瘍の除外診断が必要と判断し,MRI(単純)検査を予約した。MRIにて右上顎洞自然孔付近にT2強調画像で低信号,T1強調画像で等信号の陰影を認めたため,改めて鼻腔内視鏡検査を行ったところ,中鼻道に分葉状のポリープを認めた。ポリープの一部を生検したところ,生検結果は鼻茸であった。MRIの陰影から,深部には乳頭腫などの腫瘍性病変が存在する可能性もあると考えて,2か月後に手術を予定し,1か月後の上級医の診察を予約した。ところが2週間後,右頰部の腫脹と疼痛の増悪を訴えて予定外受診した。造影CTを撮影したところ,上顎洞前壁,内側壁に骨破壊を含む腫瘍を認めた。外来にて,下鼻道側壁の骨破壊部位から上顎洞内の腫瘍を再生検し,扁平上皮癌の病理診断となった。
患者は70歳,女性(図1)。
1か月前から右頰部痛が出現した。近医歯科・口腔外科を受診し,歯科用コーンビームCTにて歯には問題がない右上顎洞炎と診断され,紹介受診した。既往症としてリウマチ,骨粗しょう症があり,メトトレキサート,ビスホスホネート製剤を内服中であった。
一側性の副鼻腔炎で,歯性副鼻腔炎ではないことから,腫瘍の除外診断が必要と判断し,MRI(単純)検査を予約した。MRIにて右上顎洞自然孔付近にT2強調画像で低信号,T1強調画像で等信号の陰影を認めたため,改めて鼻腔内視鏡検査を行ったところ,中鼻道に分葉状のポリープを認めた。ポリープの一部を生検したところ,生検結果は鼻茸であった。MRIの陰影から,深部には乳頭腫などの腫瘍性病変が存在する可能性もあると考えて,2か月後に手術を予定し,1か月後の上級医の診察を予約した。ところが2週間後,右頰部の腫脹と疼痛の増悪を訴えて予定外受診した。造影CTを撮影したところ,上顎洞前壁,内側壁に骨破壊を含む腫瘍を認めた。外来にて,下鼻道側壁の骨破壊部位から上顎洞内の腫瘍を再生検し,扁平上皮癌の病理診断となった。
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