文献詳細
文献概要
特集 扁桃診療最前線—扁桃を取り巻く諸問題
扁桃に生じる性感染症(STI)の診断と治療
著者: 谷野絵美1 余田敬子1
所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.1100 - P.1109
文献購入ページに移動POINT
●梅毒は現在患者数が急増中で,扁桃には梅毒特有の病変である初期硬結・硬性下疳・粘膜斑が生じるが,抗菌薬の投与や自然経過によって病変が消退し,潜伏梅毒に移行する場合がある。
●淋菌感染症による扁桃炎とクラミジア感染症による上咽頭炎には特徴的な所見が乏しく,診断には核酸増幅法を用いる。
●単純ヘルペスウイルス性扁桃炎の特徴的な臨床所見は,抗ヘルペスウイルス薬による治療を早期より開始するための手がかりとなる。
●ヒトパピローマウイルス陽性中咽頭癌の大半は口蓋扁桃が原発で,比較的低年齢者で増加傾向にあり,性行動の多様化による咽頭へのHPV感染が原因と考えられている。
●梅毒は現在患者数が急増中で,扁桃には梅毒特有の病変である初期硬結・硬性下疳・粘膜斑が生じるが,抗菌薬の投与や自然経過によって病変が消退し,潜伏梅毒に移行する場合がある。
●淋菌感染症による扁桃炎とクラミジア感染症による上咽頭炎には特徴的な所見が乏しく,診断には核酸増幅法を用いる。
●単純ヘルペスウイルス性扁桃炎の特徴的な臨床所見は,抗ヘルペスウイルス薬による治療を早期より開始するための手がかりとなる。
●ヒトパピローマウイルス陽性中咽頭癌の大半は口蓋扁桃が原発で,比較的低年齢者で増加傾向にあり,性行動の多様化による咽頭へのHPV感染が原因と考えられている。
参考文献
1)国立感染症研究所:感染症発生動向調査 週報(IDWR) https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr.html
2)日本性感染症学会:梅毒診療ガイド,2018 http://jssti.umin.jp/pdf/syphilis-medical_guide.pdf
3)Golden MR, Marra CM, Holmes KK:Update on syphilis:resurgence an old problem. JAMA 290:1510-1514, 2003
)
5)清田 浩・他;2016ガイドライン委員会:性感染症診断・治療ガイドライン2016.日性感染症会誌27(1 suppl):4-170,2016 http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2016_v2.pdf(口腔咽頭と性感染症,pp36-40)
6)荒牧 元・他:鼻・口腔・咽頭梅毒.JOHNS 9:929-934,1993
7)余田敬子:口腔・咽頭に関連する性感染症.日耳鼻118:841-853,2015
8)大里和久:梅毒.性感染症/HIV感染,性の健康医学財団(編),メジカルビュー,東京,2001,pp158-161
9)尾上智彦:変遷する梅毒の血清学的検査方法に関して.IASR 36:20,2015
10)厚生労働省:感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について.16梅毒 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-11.html
11)清田 浩・他;2016ガイドライン委員会:性感染症診断・治療ガイドライン2016.日性感染症会誌27(1 suppl):4-170,2016 http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2016_v2.pdf(梅毒,pp48-52)
12)厚生労働省:性感染症報告数,2017 https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html
13)田中正利:新興・再興感染症 耳鼻咽喉科における性感染症—淋菌の咽頭感染について.日耳鼻107:760-763,2004
14)余田敬子:性感染症に対する抗菌療法.MB ENT 164:49-57,2014
15)清田 浩・他;2016ガイドライン委員会:性感染症診断・治療ガイドライン2016.日性感染症会誌27(1 suppl):4-170,2016 http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2016_v2.pdf(淋菌感染症,pp53-61)
16)清田 浩・他;2016ガイドライン委員会:性感染症診断・治療ガイドライン2016.日性感染症会誌27(1 suppl):4-170,2016 http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2016_v2.pdf(性器クラミジア感染症,pp62-66)
17)余田敬子・他:ウイルス感染症.21世紀耳鼻咽喉科領域の臨床,No.13口腔・咽頭,荒牧 元(編).中山書店,東京,2001,pp232-240
18)余田敬子:耳鼻咽喉科とウイルス—口腔・咽頭ヘルペス.JOHNS 30:1633-1637,2014
19)Sawtell NM, et al:Early intervention with high-dose acyclovir treatment during primary herpes simplex virus infection reduces latency and subsequent reactivation in the nervous system in vivo. J Infect Dis 184:964-971, 2001
20)木村 宏:ウイルス感染症検査診断の新しい展開—HSV,VZV,EBV,CMV,HHV-6,7,8.臨と微生物39:699-704,2012
) https://www.cancer.gov/types/head-and-neck/hp/adult/oropharyngeal-treatment-pdq#link/_397_toc
22)加藤久幸:中咽頭癌におけるヒト乳頭腫ウイルス(HPV)検出の臨床的意義.耳鼻臨床105:302-303,2012
23)折田頼尚:頭頸部腫瘍とヒトパピローマウイルス(HPV).耳鼻臨床110:719-723,2017
24)日本頭頸部癌学会(編):頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版.金原出版,東京,2017,pp43-48
25)厚生労働省:リーフレット「HPVワクチンの接種に当たって医療従事者の方へ」および参考資料 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/dl/yobou180118-3.pdf
掲載誌情報