原著
腫瘍性低リン血症性骨軟化症を伴ったsinonasal glomangiopericytomaの1例
著者:
寺西裕一
,
大石賢弥
,
横田知衣子
,
後藤孝和
,
山本祐輝
,
井口広義
ページ範囲:P.189 - P.195
はじめに
腫瘍性低リン血症性骨軟化症は,腫瘍産生因子(fibroblast growth factor-23:FGF-23)により腎においてリンの再吸収障害ならびにビタミンD活性化障害が起こることで惹起される腫瘍随伴症候群の1つである。原因腫瘍は中胚葉由来で良性がほとんどであるが,増殖速度が遅く局在診断が困難なことも多い。
Hemangiopericytomaは血管外皮細胞からなる稀な間葉系腫瘍であり,頭頸部領域では鼻副鼻腔が好発部位とされている。鼻副鼻腔のhemangiopericytoma(sinonasal-type haemangiopericytoma)は2017年のWHO分類ではsinonasal glomangiopericytomaとして分類されている1)。
今回,われわれはsinonasal glomangiopericytomaが原因と考えられた腫瘍性低リン血症性骨軟化症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。