耳鼻咽喉科・頭頸部外科90巻3号

2018年03月発行

原著

口腔内病変が診断の契機となったHIV感染症の1例

著者： 澤田朱里¹ 舘田勝¹ 大島英敏¹ 大石哲也¹ 橋本省¹

所属機関： ¹独立行政法人国立病院機構仙台医療センター耳鼻咽喉・頭頸部外科

ページ範囲：P.277 - P.280

文献概要

はじめに

　HIV（human immunodeficiency virus）感染症では，皮膚や性器に病変がなく，真菌・細菌・ウイルス感染症やカポジ肉腫や非ホジキンリンパ腫などの新生物など，特徴的な口腔・咽頭の病変・症状で発症し，それが診断の契機となる例が少なくない。今回，われわれは口腔咽頭カンジダ症がHIV感染症の診断の契機となった症例を経験したので報告する。

参考文献

1）本田美和子：HIV/AIDS感染症の現状と展望．日耳鼻115：759-766，2012

2）UNAIDSレポート　世界のエイズ流行2012年版　日本語版．2012．http://api-net.jfap.or.jp/status/pdf/Global_AIDS_epidemic_2012_J.pdf（閲覧日：2017年1月20日）

3）厚生労働省エイズ動向委員会：平成27（2015）年エイズ発症動向—概要—．平成27年エイズ発生動向年報，2016．http://api-net.jfap.or.jp/status/2015/15nenpo/h27gaiyo.pdf（閲覧日：2017年1月20日）

4）厚生労働省エイズ動向委員会：HIV感染患者及びAIDS患者の都道府県別累積報告状況．2016．http://api-net.jfap.or.jp/status/2016/1602/20160229_hyo_03.pdf（閲覧日：2017年1月31日）

5）余田敬子：口腔・咽頭に関連する性感染症．日耳鼻118：841-853，2015

6）HIV感染症治療研究会：HIV感染症「治療の手引き」第19版．2015．http://www.hivjp.org/guidebook/hiv_19.pdf（閲覧日：2017年1月20日）

7）池田正一：HIV感染者の歯科治療マニュアル．2005．http://api-net.jfap.or.jp/library/guideLine/dentalManual/images/h16.pdf（閲覧日：2017年1月20日）

8）EC-Clearinghouse on Oral Problems Related to HIV Infection and WHO Collaborating Centre on Oral Manifestations of the Immunodeficiency Virus：Classification and diagnostic criteria for oral lesions in HIV infection. J Oral Pathol Med 22：289-291, 1993

9）宮野良隆・他：典型的カンジダ症を呈したAIDS症例．日耳鼻感染症会誌11：77-81，1993

10）国立研究開発法人国立国際医療研究センター：エイズ治療・研究開発センター：HIV検査を考慮すべき臨床状況．http://www.acc.ncgm.go.jp/doctor/010/020/observation.html（閲覧日：2017年1月20日）