耳鼻咽喉科・頭頸部外科90巻3号

2018年03月発行

原著

輪状甲状間膜切開を要した上気道閉塞の3症例

著者： 加藤照幸¹ 荒井真木¹ 森田浩太朗¹ 山田智史¹ 永田洋一²

所属機関： ¹浜松医療センター耳鼻いんこう科 ²浜松医療センター麻酔科

ページ範囲：P.287 - P.292

文献概要

はじめに

　輪状甲状間膜切開は緊急気道確保に重要な方法の1つである^1,2）。当科では輪状甲状間膜切開の適応を，①上気道狭窄または閉塞，②換気困難または挿管困難，③進行する低酸素血症または徐脈，④より低侵襲な気道確保が不可能，⑤延命拒否の提示のない場合，としている。今回，上気道狭窄による気道緊急を呈した急性喉頭蓋炎，下咽頭進行癌，気道熱傷の3症例に対して輪状甲状間膜切開により緊急気道確保を行ったので，若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1）日本気管食道科学会：外科的気道確保マニュアル．金原出版，東京，2009

2）日本麻酔科学会：日本麻酔科学会気道管理ガイドライン2014（日本語訳）より安全な麻酔導入のために．http://www.anesth.or.jp/news2015/pdf/20150427-1.pdf

3）森脇義弘・他：気道緊急例における輪状甲状間膜靱帯切開による確実な外科的気道確保．横浜医学58：479-485，2007

4）村島浩二・他：救命処置・緊急外科的管理ガイドブック—換気も挿管もできない！ どうする？　真興交易医書出版部，東京，2010

5）鹿野真人他：喉頭レベルでの気道確保術としての輪状軟骨開窓術．喉頭28：16-23，2016

6）American Society of Anesthesiologist Task Force on Management of the Difficult Airway：Practice guidelines for management of the difficult airway：an updated report. Anesthesiology 98：1269-1277, 2003

7）辻本三郎・他：ASAガイドラインとDASガイドラインをもとにした気道管理の進め方．LiSA 14：14-23，2007

8）野村岳志・他：輪状甲状間膜穿刺・切開と経気管ジェット換気．Anesthesia 21 Century 9：29，2007

9）中尾博之・他：豚を用いた輪状甲状間膜切開法のトレーニング．日臨麻誌29：848-854，2009

10）上農善朗・他：日本発のDifficult Airway Managementを考える．日臨麻誌32（臨増）：407-421，2008