耳鼻咽喉科・頭頸部外科90巻5号

2018年04月発行

増刊号 患者・家族への説明ガイド—正しく伝え，納得を引き出し，判断を促すために

Ⅰ．耳と聞こえのこと 医師・医療者から説明しておきたいこと

鼓膜換気チューブ留置術を行う前に

著者： 山下大介¹

所属機関： ¹やました耳鼻咽喉科クリニック

ページ範囲：P.60 - P.62

文献概要

説明のPOINT

・目的は，中耳腔貯留液の排膿や換気により中耳腔粘膜を正常化することである。

・合併症には，遷延する耳漏や鼓膜穿孔の残存がある。

・鼓膜換気チューブの留置期間は，およそ1年半を目安とする。

・鼓膜穿孔が残存した場合は，鼓膜形成術を検討する。

・水泳時には耳栓装用が望ましい。

参考文献

1）Yaman H, et al：Otitis media with effusion；recurrence after tympanostomy tube extrusion. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 74：271-274, 2010

2）山口　隆・他：耳管機能の年齢変化と滲出性中耳炎の発症年齢について．耳鼻と臨床42：1-6，1996

3）高橋晴雄：小児滲出性中耳炎の年齢と治療方針．耳鼻臨床97：469-477，2004

4）Basu S, et al：Water precautions and ear surgery；evidence and practice in the UK. J Laryngol Otol 121：9-14, 2007

5）小川恭生・他：鼓膜換気チューブ留置耳と水泳．JOHNS 24：82-84，2008

6）Marks NJ, et al：Swimming and grommets. J R Soc Med 76：23-26, 1983

7）Salarta JA, et al：Water precaution in children with tympanostomy tubes. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 122：276-280, 1996

8）Jaffe BF：Are water and tympanostomy tubes compatible. Laryngoscope 91：563-564, 1981