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特集 知っておきたい顎顔面形成外科の知識 《顎》
顎関節疾患に対する外科的アプローチ
著者: 儀武啓幸1
所属機関: 1東京医科歯科大学大学院顎顔面外科学分野
ページ範囲:P.765 - P.772
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●顎関節疾患=顎関節症ではない。顎関節症とは顎関節や咀嚼筋の疼痛,関節(雑)音,開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする障害の包括的診断名であるが,顎関節に関連する疾患の総称ではない。
●顎関節に対する外科手術の適応症は限られているが,顎関節強直症,関節円板の穿孔や断裂,習慣性顎関節脱臼などや,顎関節の腫瘍性疾患または腫瘍類似疾患(滑膜軟骨腫症など)を対象に行われることが多い。
●顔面神経側頭枝は下顎頭外側付近を走行していることが多いことから,顎関節の手術においては注意が必要である。
●顔面神経の損傷を避けるため耳前部切開,または耳前・側頭切開が基本となる。審美性を考慮して耳前切開を応用する場合もある。
●顎関節疾患=顎関節症ではない。顎関節症とは顎関節や咀嚼筋の疼痛,関節(雑)音,開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする障害の包括的診断名であるが,顎関節に関連する疾患の総称ではない。
●顎関節に対する外科手術の適応症は限られているが,顎関節強直症,関節円板の穿孔や断裂,習慣性顎関節脱臼などや,顎関節の腫瘍性疾患または腫瘍類似疾患(滑膜軟骨腫症など)を対象に行われることが多い。
●顔面神経側頭枝は下顎頭外側付近を走行していることが多いことから,顎関節の手術においては注意が必要である。
●顔面神経の損傷を避けるため耳前部切開,または耳前・側頭切開が基本となる。審美性を考慮して耳前切開を応用する場合もある。
参考文献
1)日本顎関節学会(編):新編 顎関節症.永末書店,京都,2003
2)日本顎関節学会:診療ガイドライン http://kokuhoken.net/jstmj/publication/guideline.shtml
3)Al-Kayat A, et al:A modified pre-auricular approach to the temporomandibular joint and malar arch. Br J Oral Surg 17:91-103, 1979
4)Westesson PL, et al:The risk of damage to facial nerve, superficial temporal vessels, disk, and articular surfaces during arthroscopic examination of the temporomandibular joint. Oral Surg Oral Med Oral Pathol 62:124-127, 1986
5)覚道健治・他:顎関節外科における局所解剖—特に顔面神経との関連について.日口外誌34:865-871,1988
6)Yoshitake H, et al:Pseudotumor in the temporomandibular joint:a case report. Int J Surg Case Rep 15:5-9, 2015
7)Yoshitake H, et al:Synovial chondromatosis of the right side temporomandibular joint extending to the middle cranial fossa:a case report with 7-year postoperative follow up and expression of a biomarker of cell proliferative activity. Int J Surg Case Rep 20:133-137, 2016
8)儀武啓幸・他:関節隆起の過形成が原因と考えられる顎関節機能障害(下顎頭滑走制限)を認めた1例.日顎関節会誌23:3-8,2011
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