耳鼻咽喉科・頭頸部外科91巻10号

2019年09月発行

原著

下顎骨正中離断法を併用し摘出した舌根部巨大血管腫の1例

著者： 辻華子¹ 岡本伊作² 佐藤宏樹² 井谷茂人² 勝部泰彰² 冨岡亮太² 檜原浩介² 岸田拓磨² 塚原清彰²

所属機関： ¹東京医科大学病院 ²東京医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野

ページ範囲：P.877 - P.881

文献概要

はじめに

　血管腫は身体各部に発生するが，頭頸部領域に好発する。治療としては，保存・対処療法，血管内治療（塞栓術・硬化療法），外科手術などが挙げられるが，早期治療介入の必要性や治療目標（根治，整容・症状・機能改善，進行抑制など），侵襲度および合併症を考慮する必要がある。

　今回，われわれは舌根部に発生した巨大血管腫に対し，下顎骨正中離断法を併用し摘出しえた1例を経験したため，文献的考察を加え報告する。

参考文献

1）平成26-28年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班：血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017，第2版．2017，pp55-56

2）河北誠二・他：硬化療法が奏効した咽頭食道血管腫例．日気食会報54：302-306，2003

3）Qureshi SS, et al：Hemangioma of base of tongue. Indian J Cancer 41：181-183, 2004

4）Madana J, et al：Development of hemangioma in a tongue harboring long-standing angiokeratoma circumscriptum. Ear Nose Throat J 91：E7-E10, 2012

5）笠井英夫・他：巨大なる舌根部血管腫の1症例．川崎医会誌1：91-94，1975

6）Dutta M, et al：Large, solitary angiokeratoma in the posterior third and base of the tongue：case report. J Laryngol Otol 125：1083-1086, 2011

7）豊田哲郎・他：構音障害を主訴に受診した血管腫の1例．愛知学院大論叢 心身科紀2（増刊号）：1-5，2007

8）清川佑介・他：ELPSが有用であった舌根部神経鞘腫の1例．口咽科30：227-232，2017

9）行木英生：舌根部腫瘍への到達法．口咽科11：207-213，1999

10）内山美智子・他：舌正中離断法で切除した舌根部粘表皮癌例．口咽科30：117-122，2017

11）伴 有紀・他：舌根部神経鞘腫例．耳鼻臨床97：893-898，2004