耳鼻咽喉科・頭頸部外科91巻13号

2019年12月発行

特集 舌がん・口腔がん治療の最前線〔特別付録web動画〕 《支持療法》

嚥下障害への対応戦略—術前評価から誤嚥防止手術まで

著者： 古川竜也¹ 丹生健一¹

所属機関： ¹神戸大学大学院医学研究科外科系講座耳鼻咽喉科頭頸部外科学分野

ページ範囲：P.1155 - P.1163

POINT

●口腔癌の術後嚥下障害の重症度は切除範囲によって大きく異なるため，解剖に応じた対応が必要になる。

●当科では手術前から言語聴覚士や認定看護師が介入するサポート体制をとっている。

●術中の嚥下機能改善手術，術後の嚥下リハビリテーションを重点的に実施している。

●嚥下内視鏡検査に加えて，嚥下造影検査，嚥下圧測定検査での嚥下評価を実施している。

●重症嚥下障害で肺炎予防や経口摂取獲得を希望する患者には，誤嚥防止術を実施している。

＊本論文中，動画マークのある箇所につきましては，関連する動画を見ることができます（公開期間：2022年12月）。

参考文献

1）菅澤 正：高齢者の頭頸部癌治療．日気食会報65：388-394，2014

2）日本頭頸部癌学会（編）：頭頸部癌取扱い規約，第6版．金原出版，東京，2018，p36

3）藤本保志・他：口腔・中咽頭癌切除における嚥下機能改善手術—高齢者での適応拡大．耳鼻47：105-109，2001

4）馬場 均・他：頭頸部癌手術と嚥下障害：嚥下障害予防のための術中対応—嚥下機能改善手術の併用．耳鼻54（Suppl. 2）：S112-S116，2008

5）横尾 聡：口腔癌広範進展症例に対する外科的治療—嚥下機能はどこまで回復するか．日大口腔科学35：1-9，2009

6）常行美貴・他：癌治療に対する看護—口腔・中咽頭癌．JOHNS 27：407-411，2011

7）高橋美貴：頭頸部癌の嚥下障害リハビリテーション．耳喉頭頸88：312-316，2016

8）丹生健一・他（編）：カラーアトラス 目で見て学ぶ！　多職種チームで実践する 頭頸部がんの化学放射線療法．日本看護協会出版会，東京，2015

9）鹿野真人・他：長期臥床症例に対する輪状軟骨鉗除を併用する声門閉鎖術．喉頭20：5-12，2008

10）Furukawa T, et al：A laryngeal closure technique for the treatment of patients with head and neck cancer. Laryngoscope Investig Otolaryngol 4：246-249, 2019

11）金沢英哲・他：声門閉鎖術時に輪状咽頭筋起始部離断術を併施する新たな術式と効果．嚥下医学1：374-378，2012