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特集 ここまできた! 頭頸部希少癌の治療戦略
聴器癌(外耳道癌)
著者: 志賀清人1
所属機関: 1岩手医科大学医学部頭頸部外科学科
ページ範囲:P.105 - P.109
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●聴器癌(外耳道癌)は希少疾患であり,他の頭頸部扁平上皮癌とは異なる臨床像を呈する。症例は女性が多く,外耳道真珠腫などとの鑑別も必要であり,生検による病理診断の確認が必須である。
●造影CTによる腫瘍陰影と骨破壊像の程度の診断が病期分類の決め手になる。診断時には進行癌となっている場合も多い。
●根治手術が可能な場合は手術治療も可能であるが,解剖学的に切除マージンが取りにくく,病理で切除断端陽性になる場合が散見される。また側頭骨亜全摘などの根治手術は,熟練した術者がいない施設では困難である。
●頭蓋底への進展例など手術困難例で行われている化学放射線治療は,標準的なシスプラチン(CDDP)レジメンでは無効なことが多く,今後の治療成績向上のためには新たな併用療法の有用性を確認する臨床試験が望まれる。
●聴器癌(外耳道癌)は希少疾患であり,他の頭頸部扁平上皮癌とは異なる臨床像を呈する。症例は女性が多く,外耳道真珠腫などとの鑑別も必要であり,生検による病理診断の確認が必須である。
●造影CTによる腫瘍陰影と骨破壊像の程度の診断が病期分類の決め手になる。診断時には進行癌となっている場合も多い。
●根治手術が可能な場合は手術治療も可能であるが,解剖学的に切除マージンが取りにくく,病理で切除断端陽性になる場合が散見される。また側頭骨亜全摘などの根治手術は,熟練した術者がいない施設では困難である。
●頭蓋底への進展例など手術困難例で行われている化学放射線治療は,標準的なシスプラチン(CDDP)レジメンでは無効なことが多く,今後の治療成績向上のためには新たな併用療法の有用性を確認する臨床試験が望まれる。
参考文献
1)Moody SA, et al:Squamous cell carcinoma of the external auditory canal:an evaluation of a staging system. Am J Otol 21:582-588, 2000
2)Shiga K, et al:Concomitant chemoradiotherapy as a standard treatment of squamous cell carcinoma of the temporal bone. Skull Base 21:153-158, 2011
3)Katori H, et al:Comparison of induction chemotherapy with docetaxel, cisplatin, and 5-fluorouracil(TPF)followed by radiation vs concurrent chemoradiotherapy with TPF in patients with locally advanced squamous cell carcinoma of the head and neck. Clin Oncol(R Coll Radiol) 17:148-152, 2005
4)Shiga K, et al:Long-term outcomes of patients with squamous cell carcinoma of the temporal bone after concomitant chemoradiotherapy. J Neurol Surg B Skull Base 79(Suppl S4):S316-S321, 2018
5)Shinomiya H, et al:Concomitant chemotradiotherapy for advanced squamous cell carcinoma of the temporal bone. Head Neck 38:E949-E953, 2016
6)Takenaka Y, et al:Chemoradiation therapy for squamous cell carcinoma of the external auditory canal:a meta-analysis. Head Neck 37:1073-1080, 2015
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