耳鼻咽喉科・頭頸部外科92巻12号

2020年11月発行

原著

手術により嚥下改善を認めたForestier病の1例

著者： 藤井正文¹ 晝間清¹ 肥塚泉²

所属機関： ¹川崎市立多摩病院耳鼻咽喉科 ²聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科

ページ範囲：P.1019 - P.1023

文献概要

はじめに

　Forestier病（強直性脊椎骨増殖症）とは，1950年にForestierら^1）が報告したことでよく知られている疾患である。耳鼻咽喉科領域では頸椎前面の骨増殖による咽喉頭異常感，嚥下障害，嗄声や呼吸困難^2,3）などの原因となることが報告されている。今回われわれは，本疾患による長年の嚥下障害を主訴とした1例に対して外科的治療を行い，嚥下機能が著明に改善したので，手術の要点と若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1）Forestier J, et al：Senile ankylosing hyperostosis of the spine. Ann Rheum Dis 9：321-330, 1950

2）馬場美雪・他：声帯運動障害を伴ったForestier病の一例．頭頸部外18：163-167，2008

3）黄川田乃威・他：気管切開術を要したForestier病例．耳鼻臨床112：33-36，2019

4）Iglauer S：A case of dysphagia due to an osteochondroma of the cervical spine-osteotomy-recovery. Ann Otol Rhinol Laryngol 47：799-803, 1938

5）島津倫太郎・他：高度嚥下障害をきたしたForestier病の1例．耳鼻42（補3）：1000-1003，1996

6）長谷川 純・他：急性に嚥下障害を発症したForestier病の1例—Forestier病による嚥下障害の1考察．耳喉頭頸75：313-317，2003

7）兵頭政光・他：Forestier病（強直性脊椎骨増殖症）による嚥下障害に対する外科的治療．耳鼻臨床103：155-161，2010

8）堀口利之：Ⅶ．咽頭・喉頭の解剖　4．嚥下改善手術のための臨床解剖．耳鼻咽喉科診療プラクティス8．耳鼻咽喉科・頭頸部外科のための臨床解剖，岸本誠司（編）．文光堂，東京，2002，pp183-187

9）岩井 大・他：Forestier病（強直性脊椎骨増殖症）の手術法の検討．口咽科25：157-163，2012

10）Kim YS, et al：Postoperative obstructing laryngeal edema in patients with diffuse idiopathic skeletal hyperostosis of cervical spine—a report of two cases. Korean J Anesthesiol 60：377-380, 2011