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原著
低ガンマグロブリン血症下に涙囊鼻腔吻合術鼻内法を施行した多発血管炎性肉芽腫の1例
著者: 松見文晶1 斎藤友紀子1 三ッ井瑞季12
所属機関: 1公益財団法人星総合病院耳鼻いんこう科 2福島県立医科大学耳鼻咽喉科頭頸部外科
ページ範囲:P.1043 - P.1048
文献購入ページに移動多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)は,上気道病変,肺の壊死性肉芽腫性病変,腎臓の壊死性糸球体腎炎,全身の中・小動脈の壊死性血管炎を特徴とし,PR3-ANCAが高率に陽性となる自己免疫学的機序が疑われている原因不明の疾患である。GPAにおいて涙道病変は約7%で認められ1),外科的治療を要することがあるが治療成績はあまりよくないとされており2),通常の涙道閉塞症に対する手術治療とは異なる注意,対応が求められる。今回われわれは,稀な若年発症のGPAにより遅発性に鼻涙管閉塞症を生じた症例に対し,GPAの治療による低ガンマグロブリン血症を合併したなかで涙囊鼻腔吻合術鼻内法(endoscopic dacryocystorhinostomy:En-DCR)を施行し,良好な経過を得た経験をしたので,文献的考察を加え報告する。
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