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特集 カラーアトラス 口腔・咽頭粘膜疾患—目で見て覚える鑑別ポイント
性感染症による口腔・咽頭粘膜病変
著者: 余田敬子1
所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.122 - P.127
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●梅毒一次病変の初期硬結と硬性下疳は,アズキ大から指頭大の暗赤色の腫瘤で,軟骨のようにコリコリと硬く無痛性である。
●梅毒二次病変の粘膜斑は,青みがかった白,または灰色の若干扁平に隆起した梅毒特有の病変で,辺縁は赤く,とくに口蓋垂を中心に蝶が羽を広げたような形態(butterfly appearance)が特徴的である。
●典型的な粘膜斑でなくても,一見扁桃炎のようにみえる白色病変が扁桃に限局せず,口蓋弓粘膜など扁桃周囲にも認める場合は,梅毒を鑑別診断に挙げるべきである。
●20〜50歳台の男性に,カンジダ,舌の白色病変,難治性の歯肉炎・歯周炎,非特異的潰瘍を認める場合は,HIV感染を疑う。
●10歳台後半〜20歳台の難治性上咽頭炎や急性に生じた咽頭扁桃のアデノイド様腫脹では,クラミジア感染症を鑑別に挙げるべきである。
●梅毒一次病変の初期硬結と硬性下疳は,アズキ大から指頭大の暗赤色の腫瘤で,軟骨のようにコリコリと硬く無痛性である。
●梅毒二次病変の粘膜斑は,青みがかった白,または灰色の若干扁平に隆起した梅毒特有の病変で,辺縁は赤く,とくに口蓋垂を中心に蝶が羽を広げたような形態(butterfly appearance)が特徴的である。
●典型的な粘膜斑でなくても,一見扁桃炎のようにみえる白色病変が扁桃に限局せず,口蓋弓粘膜など扁桃周囲にも認める場合は,梅毒を鑑別診断に挙げるべきである。
●20〜50歳台の男性に,カンジダ,舌の白色病変,難治性の歯肉炎・歯周炎,非特異的潰瘍を認める場合は,HIV感染を疑う。
●10歳台後半〜20歳台の難治性上咽頭炎や急性に生じた咽頭扁桃のアデノイド様腫脹では,クラミジア感染症を鑑別に挙げるべきである。
参考文献
1)日本性感染症学会:梅毒診療ガイド(2018) http://jssti.umin.jp/pdf/syphilis-medical_guide.pdf
2)Golden MR, et al:Update on syphilis:resurgence an old problem. JAMA 290:1510-1514, 2003
3)荒牧 元・他:当院における口腔咽頭梅毒症例の検討.日耳鼻感染症研会誌17:154-157,1999
4)宮野良隆:口腔咽頭粘膜におけるSTDの診断.口咽科6:61-70,1994
5)荒牧 元:口腔咽頭粘膜疾患アトラス.医学書院,東京,2001,pp46-65
6)荒牧 元・他:鼻・口腔・咽頭梅毒.JOHNS 9:929-934,1993
7)余田敬子:口腔・咽頭に関連する性感染症.日耳鼻118:841-853,2015
8)余田敬子:咽喉頭炎.今日の臨床サポート 第2版,森山 寛(監).エルゼビア・ジャパン,東京,2016
9)Pan American Health Organization:HIV/AIDS and Oral Health https://www.paho.org/hq/index.php?option=com_content&view=article&id=7414:hiv-aids-oral-health&Itemid=675&lang=en
10)余田敬子:性感染症を疑う口腔粘膜疾患の診療.MB ENT 178:62-72,2015
11)田上 正:HIV感染症における口腔内病変.化療の領域22:627-635,2006
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13)宮野良隆・他:典型的カンジダ症を来したAIDS症例.日耳鼻感染症会誌11:77-81,1993
14)日本性感染症学会:性感染症 診断・治療ガイドライン2011.日性感染症会誌22(1 suppl):2-163,2011
15)田中正利:新興・再興感染症—耳鼻咽喉科領域における性感染症—淋菌の咽頭感染について.日耳鼻107:760-763,2004
16)余田敬子:性感染症に対する抗菌療法.MB ENT 164:49-57,2014
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