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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科92巻2号

2020年02月発行

文献概要

原著

化学放射線療法後に骨髄異形成症候群を発症し不幸な転帰を辿った進行中咽頭癌症例

著者: 加藤大星1 中溝宗永1 横島一彦1 稲井俊太1 酒主敦子1 坂井梓1 中石柾1 臼倉典宏1 大久保公裕1

所属機関: 1日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲:P.181 - P.187

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はじめに

 進行頭頸部癌に対する集学的療法として,一次治療に化学療法を行うことが一般的になって久しい。また,手術や放射線治療後の残存や再発に対する二次治療として化学療法を施行することも多くなっている。その結果として予後が改善し,長期生存例において晩期合併症の発生が増加すると予想される。

 晩期合併症の1つに,治療関連骨髄異形成症候群(therapy-related myelodysplastic syndrome:t-MDS)が知られている1)。しかし,頭頸部癌治療後に生じた症例の報告は少なく,その詳細についてのわれわれの認識は十分とはいえない。今回,中咽頭癌に対する化学放射線後,早期に骨髄異形成症候群(MDS)を発症した1例を経験したので報告する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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