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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科92巻2号

2020年02月発行

文献概要

原著

下位脳神経と交感神経の麻痺をきたし,Tornwaldt病の感染が原因として疑われた咽後膿瘍の1例

著者: 佐伯忠彦1 小川晃弘1 黒田一彬2 小山貴久3

所属機関: 1姫路聖マリア病院耳鼻咽喉科 2黒田耳鼻咽喉科あき医院 3岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科

ページ範囲:P.189 - P.195

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はじめに

 咽後膿瘍は咽後間隙に膿瘍が形成される疾患であるが,近年,抗菌薬の使用や脊椎カリエスが減少したことなどにより,発症が少なくなっている。通常は発熱や咽頭痛を伴い,中咽頭〜下咽頭後壁の腫脹を認めることが多いが,上咽頭に発生して神経麻痺症状をきたす例は稀である。

 今回われわれは,下位脳神経麻痺と交感神経麻痺をきたし,Tornwaldt病の感染が原因として疑われた上咽頭の咽後膿瘍例を経験したので報告する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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