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書評
顔面骨への手術アプローチ
著者: 飯村慈朗1
所属機関: 1東歯大市川総合病院・耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.243 - P.243
文献購入ページに移動 『Surgical Approaches to the Facial Skeleton』は,1995年の初版刊行以来,米国で頭蓋顎顔面外科を修める医師にとって教科書的な本となっている。本書は,その第3版(Wolters Kluwer,2018)の日本語版である。本書の特徴は,解剖学に加え技術的要素を詳細に解説し,手術アプローチ法に特化している点である。きれいな良い手術は的確なアプローチから成り立つものであり,一つのアプローチ法しか知らないと対処できる部位は狭められ無理をした手術となってしまう。例えば耳鼻咽喉科医である私は,眼窩底骨折へのアプローチは内視鏡による経鼻内法もしくは経上顎洞法が主であった。しかし本書第2部に記載されている経眼窩法を行うと,驚くほど眼窩底骨折前方の処置が簡単であった。眼窩底後方の骨折に対しては内視鏡下経鼻内法のほうが処置しやすいが,前方に対しては経眼窩法のほうが格段に容易である。病変部位によってアプローチ法を変えることの重要性が実感できる。
顔面骨格の手術においては,切開する際に顔の審美性,表情筋とその神経支配,感覚神経の走行を考慮しなければならない。そのため病変部位に対するアプローチ法は,引き出しが多いほうが良い。その点,本書はそれぞれの長所と短所を列挙し,ある特定のアプローチ法を推奨しているわけではない。各アプローチ法の長所と短所を理解した上で選択できれば,対処できる部位の幅が広がり,治癒率の向上につながる。そのため本書を頭蓋顎顔面領域の手術に携わる全ての外科医にお薦めする。本書を読めば,顔面骨格のあらゆる箇所に自信を持ってアプローチできるようになり,外科医としてランクアップするであろう。
顔面骨格の手術においては,切開する際に顔の審美性,表情筋とその神経支配,感覚神経の走行を考慮しなければならない。そのため病変部位に対するアプローチ法は,引き出しが多いほうが良い。その点,本書はそれぞれの長所と短所を列挙し,ある特定のアプローチ法を推奨しているわけではない。各アプローチ法の長所と短所を理解した上で選択できれば,対処できる部位の幅が広がり,治癒率の向上につながる。そのため本書を頭蓋顎顔面領域の手術に携わる全ての外科医にお薦めする。本書を読めば,顔面骨格のあらゆる箇所に自信を持ってアプローチできるようになり,外科医としてランクアップするであろう。
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