icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科92巻5号

2020年04月発行

文献概要

増刊号 フローチャートと検査一覧で ひと目でわかる耳鼻咽喉科診療 1.耳科編

自声強聴—耳管開放症,感音難聴による補充現象,上半規管裂隙症候群

著者: 大島猛史1

所属機関: 1日本大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野

ページ範囲:P.64 - P.67

文献購入ページに移動
ここを押さえておこう

●自声強聴とは,自身の発する音声が耳に響いて聴こえる症状をいう.あるいは「割れて聴こえる」「こもって聴こえる」という表現もあり,同時に耳閉感を伴うことが少なくない.

●咽頭腔の音声が開放した耳管を介して直接的に中耳腔に到達することにより自声強聴は生じる.この発症機序からは耳管開放症を容易に想起できるし,実際に耳管開放症では自声強聴は患者を悩ます主症状となる.そのため,自声強聴を主訴とする患者を診察した場合に最初に考える疾患は,耳管開放症であろう.

●しかし,自声強聴は自声の伝わる2つの経路,気導および骨導のうち,急に骨導の伝導割合が大きくなった状態でも生じる1).例えば,急に外耳道が閉塞された状態である.さらに,感音難聴に伴う補充現象により自声強聴・聴覚過敏の訴えが出現する.

参考文献

1)川瀬哲明:耳閉感,自声強調の診断.JOHNS 18:171-173,2002
2)日本耳鼻咽喉科学会:耳管開放症診断基準案2016.https://www.otology.gr.jp/common/pdf/guideline_jikan2016.pdf
3)Minor LB, et al:Sound-and/or pressure-induced vertigo due to bone dehiscence of the superior semicircular canal. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 124:249-258, 1998
4)大田重人・他:耳管開放症の発症で見つかった上半規管裂隙症候群.日耳鼻122:52-58,2019
5)日本耳科学会:耳管機能検査マニュアル(2016).https://www.otology.gr.jp/common/pdf/guideline_jikankensa2016.pdf
6)室伏利休:VEMPの臨床応用update.Equilibrium Res 77:264-270,2018
7)大島猛史:耳管開放症に対する内服・外用薬の使い方.MB ENT(231):26-31,2019
9)鈴木光也:上半規管裂隙症候群.JOHNS 33:1059-1064,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?