文献詳細
増刊号 フローチャートと検査一覧で ひと目でわかる耳鼻咽喉科診療
1.耳科編
文献概要
ここを押さえておこう
●めまいという症状を訴えるものの既存の診断基準に合致せず,各種平衡機能検査,画像検査,心理検査などで精査しても原因がはっきりしない場合,めまい症と診断される.近年,めまい症の一部あるいは多くが,慢性めまいを主訴とする機能性疾患である持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)である可能性が示されるようになった.SSRIの内服や前庭リハビリテーション,認知行動療法の有用性が報告されている.
●60歳以上で,少なくとも3か月以上持続するバランスの悪い姿勢または不安定性,歩行障害,慢性めまい,転倒の頻発などの慢性前庭症候のうち2つ以上を有し,軽度の両側性末梢性前庭機能障害を有しているものが,加齢性めまい(加齢性平衡障害)と診断される.前庭リハビリテーションが有用である.
●中枢性の原因で最も重要かつ見逃してはならないのは脳卒中(脳梗塞・脳出血)である.めまいという症状が前景に出る脳卒中は,脳幹または小脳の脳卒中である.これらが疑われたら早急にMRI拡散強調画像を撮影する.脳神経内科医あるいは脳外科医に診察を依頼する.
●めまいという症状を訴えるものの既存の診断基準に合致せず,各種平衡機能検査,画像検査,心理検査などで精査しても原因がはっきりしない場合,めまい症と診断される.近年,めまい症の一部あるいは多くが,慢性めまいを主訴とする機能性疾患である持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)である可能性が示されるようになった.SSRIの内服や前庭リハビリテーション,認知行動療法の有用性が報告されている.
●60歳以上で,少なくとも3か月以上持続するバランスの悪い姿勢または不安定性,歩行障害,慢性めまい,転倒の頻発などの慢性前庭症候のうち2つ以上を有し,軽度の両側性末梢性前庭機能障害を有しているものが,加齢性めまい(加齢性平衡障害)と診断される.前庭リハビリテーションが有用である.
●中枢性の原因で最も重要かつ見逃してはならないのは脳卒中(脳梗塞・脳出血)である.めまいという症状が前景に出る脳卒中は,脳幹または小脳の脳卒中である.これらが疑われたら早急にMRI拡散強調画像を撮影する.脳神経内科医あるいは脳外科医に診察を依頼する.
参考文献
1)城倉 健:脳卒中と紛らわしい症状.内科111:855-861,2013
2)Staab JP, et al:Diagnostic criteria for persistent postural-perceptual dizziness(PPPD):Consensus document of the committee for the Classification of Vestibular Disorders of the Bárány Society. J Vestib Res 27:191-208, 2017
3)堀井 新:Bárány Societyによる心因性めまいの新分類と持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)の診断基準.Equilibrium Res 76:316-322,2017
4)堀井 新:PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい).MB ENT 214:60-67,2018
5)Agrawal Y, et al:Presbyvestibulopathy:Diagnostic criteria Consensus document of the classification committee of the Bárány Society. J Vestib Res 29:161-170, 2019
6)肥塚 泉:感覚器の老化と抗加齢医学—平衡感覚.日耳鼻119:87-93,2016
7)肥塚 泉:アンチエイジングへの挑戦—平衡覚.日耳鼻121:753-760,2018
8)徳増厚二:めまい・平衡障害のリハビリテーション.耳喉頭頸61:257-264,1989
9)伊藤妙子・他:理学療法士によるめまい平衡リハビリテーション—まほろば式.Equil Res 77:549-556,2018
10)塩崎智之・他:前庭代償不全に対するめまい平衡リハビリテーションの回復メカニズムと実践方法—まほろば式めまい平衡リハビリテーションシステムの構築.奈良理療学10:11-24,2018
掲載誌情報