icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科92巻5号

2020年04月発行

増刊号 フローチャートと検査一覧で ひと目でわかる耳鼻咽喉科診療

3.口腔・咽喉頭編

咽喉頭異常感—咽喉頭異常感症,胃食道(咽喉頭酸)逆流症,喉頭アレルギー,茎状突起過長症

著者: 折舘伸彦1

所属機関: 1横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲:P.213 - P.217

文献概要

ここを押さえておこう

●異常感の訴えは主観的なものであり,「のどがイガイガする」「何か異物があるような感じがある」「何となくつまった感じがする」というものが多く,症状の特徴として痛みを伴わないこと,食事により症状が改善すること,摂食時の嚥下では自覚されないことなどがある.

●症状は間欠的であったり持続的であったりさまざまで,自然経過によって症状の増悪・改善がみられることもある.

●問診・視診・頸部触診・喉頭ファイバースコープ検査まで行って,訴えに見合うような器質的病変(腫瘍性病変,慢性咽喉頭炎,口腔内乾燥,後鼻漏など)を見出せないときには,咽喉頭異常感症という病名がつけられる.有病率は不明であるが,外来患者の5〜10%を占めるとの報告もある.

●咽喉頭異常感を惹起する疾患が多彩であること,診断法が確立されていないこと,実臨床上は除外診断であることから,器質的疾患を見逃さないように留意すること,器質的疾患が除外された場合には十分に説明して安心させること,が重要である.

参考文献

1)Harar RP, et al:Management of globus pharyngeus:review of 699 cases. J Laryngol Otol 118:522-527, 2004
2)内藤健晴:咽喉頭異常感症.綜合臨56:157-158,2007
3)山下公一・他:咽喉頭異常感症に対する内視鏡検査.JOHNS 15:189-195,1999
4)Oridate N, et al:The diagnosis and management of globus:a perspective from Japan. Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg 16:498-502, 2008
5)日本消化器病学会(編):胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン.南江堂,東京,2009,pp1-4
6)Locke GR 3rd, et al:Prevalence and clinical spectrum of gastroesophageal reflux:a population-based study in Olmsted County, Minnesota. Gastroenterology 112:1448-1456, 1997
7)内藤健晴:喉頭アレルギー.日気食会報65:68-69,2014
8)武市佳代子・他:主訴から見た甲状腺疾患と咽喉頭異常感.耳鼻臨床(補24):117-122,1988
9)小澤喜久子・他:咽喉頭異常感症例における咽頭食道ビデオ透視検査.日気食会報56:273-279,2005
10)五島史行・他:総合病院耳鼻咽喉科における心身症の割合と心療耳鼻咽喉科医の必要性.心身医50:229-236,2010
11)Park KH, et al:Diagnosis of laryngopharyngeal reflux among globus patients. Otolaryngolo Head Neck Surg 134:81-85, 2006
12)柴田邦彦・他:咽喉頭逆流症について—歴史と逆流性食道炎との違い.MB ENT(238):1-7,2019
13)阪本浩一:喉頭アレルギーの診断と治療.日耳鼻会報122:70-72,2019
14)工田昌也:茎状突起症候群.JOHNS 32:1379-1384,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら