耳鼻咽喉科・頭頸部外科92巻6号

2020年05月発行

特集 高齢者のめまいを治す

《高齢者のめまい疾患別 最新治療》

脳血管障害によるめまい

著者： 橋本誠¹² 山下裕司¹

所属機関： ¹山口大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学 ²山口大学医学部附属病院高次統合感覚器医療センター

ページ範囲：P.448 - P.451

文献概要

POINT

●脳血管障害によるめまいは，必ずしも片麻痺のような典型的な症状を伴わず，見落としやすい。

●既往歴や随伴する症状，軽微でも神経症候の有無を確認し，中枢性眼振の要素を見逃さないことが重要である。

●脳血管障害が疑わしい症例は頭部MRIの施行を検討するが，発症早期の拡散強調画像でも梗塞巣を検出できないことがある。

●診断がつく前は対症療法を行うが，脳血管障害の診断となれば，速やかに専門医へ紹介し，治療に精通した医師・看護師などの専門チームで診療を行う。

参考文献

1）橋本 誠・他：平衡—めまいで発症した脳血管障害．MB ENT（157）：28-33，2013

2）Fisher CM：Vertigo in cerebrovascular disease. Arch Otolaryngol 85：529-534, 1967

3）篠原幸人：病態と最近の治療法—脳血管障害とめまい．Clin Neurosci 18：815-818，2000

4）橋本 誠・他：めまい急性期に対するカクテル療法．MB ENT（120）：8-13，2010

5）藤井博則・他：急性感音難聴，めまいで発症した小脳梗塞の1例．Equilibrium Res 68：452-456，2009

6）小松崎 篤・他：小脳障害における異常眼球運動．神研の進歩19：649-661，1975

7）内藤理恵・他：小脳血管障害症例における神経耳科学的所見．Equilibrium Res 64：29-36，2005

8）橋本 誠・他：赤外線CCDカメラと眼球運動解析．耳鼻臨床105：603-612，2012

9）橋本 誠・他：急性めまいで発症し，初回のMRI拡散強調画像では検出が困難であったWallenberg症候群．耳鼻咽喉科 てこずった症例のブレークスルー，本庄 巖（編）．中山書店，東京，2013，pp92-93

10）道具伸浩：脳血管障害によるめまい．MB ENT（200）：43-48，2016

11）福井次矢・他（編）：今日の治療指針 2019年版［デスク判］—私はこう治療している．医学書院，東京，2019