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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科92巻7号

2020年06月発行

文献概要

原著

T2N0喉頭癌に対する根治的放射線治療に化学療法の同時併用は必要か?

著者: 平賀幸弘1 岡本篤司1 坂本要1 霜村真一1

所属機関: 1山梨県立中央病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.565 - P.568

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はじめに

 化学・放射線同時併用療法(concurrent chemo-radio therapy:CCRT)が進行頭頸部扁平上皮癌(head and neck squamous cell cancer:HNSCC)に対する世界的な標準治療であることは,RTOG91-11試験が報告されてすでに16年が経過した現在でも言を俟たない。実際,当科においても2006年以降,CCRTをHNSCC治療に適応した結果,生存率,喉頭温存率,頸部制御率のいずれも著明に向上したことはすでに報告してきた1,2)

 喉頭癌の治療において,T1-2N0症例では治癒と喉頭温存がゴールとなる。なかでもT1N0症例は,放射線治療単独で根治と喉頭温存が期待できることは一致した見解となっている3,4)。しかし,T2N0症例に対する治療方針は,National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドライン2019では喉頭部分切除や65.25〜70Gyの根治照射単独が推奨されている一方,頭頸部癌診療ガイドライン2018年版4)においては深部浸潤を伴う場合は放射線治療と化学療法の併用が推奨されており,混沌としているのが現状である。

 今回われわれは,2006年以降に当科において根治照射で一次治療を行った喉頭癌T2N0症例について,化学療法の併用(CCRT)を要するか否かを後方視的に検討したので,ここに報告する。

参考文献

1)平賀幸弘・他:化学・放射線同時併用療法の有効性の解析—下咽頭がん・喉頭がん.頭頸部癌45:51-56,2019
2)平賀幸弘・他:Stage ⅣA頭頸部癌N2頸部リンパ節転移に対する術前化学放射線同時併用療法と頸部郭清術の有効性の評価.耳鼻臨床112:181-188,2019
). Head and Neck Cancers Version2. 2019-June 28, 2019
4)日本頭頸部癌学会(編):頭頸部癌診療ガイドライン2018年版,第3版.金原出版,東京,2018,pp55-61
5)Mandenhall WM, et al:Management of T1-T2 glottic carcinoma. Cancer 100:1786-1792, 2004
6)Cetinayak O, et al:Outcome of early-stage glottic laryngeal carcinoma patients treated with radical radiotherapy using different techniques. J Oncol 2019:8640549, 2019
7)田畑貴久・他:喉頭癌112例の臨床統計.耳鼻臨床108:295-300,2015
8)千田邦明・他:山形大学における喉頭癌治療の臨床検討.耳展60:26-27,2017
9)池谷洋一・他:当科における喉頭癌T2症例の検討.癌と化療38:1809-1811,2011
10)東野正明・他:声門癌T2症例に対するS-1併用放射線治療の問題点.頭頸部癌42:345-348,2016
11)Akimoto T, et al:Radiation therapy for T2N0 laryngeal cancer:A retrospective analysis for the impact of concurrent chemotherapy on local control. Int J Radiat Oncol Biol Phys 64:995-1001, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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