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原著
T2N0喉頭癌に対する根治的放射線治療に化学療法の同時併用は必要か?
著者: 平賀幸弘1 岡本篤司1 坂本要1 霜村真一1
所属機関: 1山梨県立中央病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.565 - P.568
文献購入ページに移動化学・放射線同時併用療法(concurrent chemo-radio therapy:CCRT)が進行頭頸部扁平上皮癌(head and neck squamous cell cancer:HNSCC)に対する世界的な標準治療であることは,RTOG91-11試験が報告されてすでに16年が経過した現在でも言を俟たない。実際,当科においても2006年以降,CCRTをHNSCC治療に適応した結果,生存率,喉頭温存率,頸部制御率のいずれも著明に向上したことはすでに報告してきた1,2)。
喉頭癌の治療において,T1-2N0症例では治癒と喉頭温存がゴールとなる。なかでもT1N0症例は,放射線治療単独で根治と喉頭温存が期待できることは一致した見解となっている3,4)。しかし,T2N0症例に対する治療方針は,National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドライン2019では喉頭部分切除や65.25〜70Gyの根治照射単独が推奨されている一方,頭頸部癌診療ガイドライン2018年版4)においては深部浸潤を伴う場合は放射線治療と化学療法の併用が推奨されており,混沌としているのが現状である。
今回われわれは,2006年以降に当科において根治照射で一次治療を行った喉頭癌T2N0症例について,化学療法の併用(CCRT)を要するか否かを後方視的に検討したので,ここに報告する。
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