耳鼻咽喉科・頭頸部外科92巻9号

2020年08月発行

原著

篩骨動脈を茎とする鼻中隔粘膜弁を用いた鼻中隔穿孔閉鎖術の1例

著者： 勝俣量平¹ 鈴木正宣¹ 中薗彬¹ 中丸裕爾¹ 本間明宏¹

所属機関： ¹北海道大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室

ページ範囲：P.757 - P.760

文献概要

はじめに

　鼻中隔穿孔は，鼻中隔矯正術や鼻粘膜焼灼術などの外科治療，六価クロムなどの薬物による中毒，多発血管炎性肉芽腫症，梅毒などの全身疾患にて生じる^1）。無症状の症例も多いが，穿孔の大きさと位置によっては穿孔部の痂皮形成，反復性鼻出血，笛様音などを生じ，患者のQOLを低下させる。これまでにさまざまな閉鎖法が報告されているが，再穿孔をきたし治療に難渋することも多い。今回われわれは，篩骨動脈を茎とする鼻中隔粘膜弁で鼻中隔穿孔を閉鎖した1例を報告する。

参考文献

1）Lanier B, et al：Pathophysiology and progression of nasal septal perforation. Ann Allergy Asthma Immunol 99：473-479, 2007

2）Re M, et al：Surgical treatment of nasal septal perforations. Our experience. Acta Otorhinolaryngol Ital 26：102-109, 2006

3）Goh AY, et al：Different surgical treatments for nasal septal perforation and their outcomes. J Laryngol Otol 121：419-426, 2007

4）Castelnuovo P, et al：Anterior ethmoidal artery septal flap for the management of septal perforation. Arch Facial Plast Surg 13：411-414, 2011