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原著
当科で施行した経乳突的顔面神経減荷術の成績と特徴
著者: 岩永明日菜1 大淵豊明1 古閑友馬1 川村有希1 鈴木秀明1
所属機関: 1産業医科大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
ページ範囲:P.83 - P.86
文献購入ページに移動末梢性顔面神経麻痺は,単純ヘルペスウイルスの再活性化によるBell麻痺や,水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によるRamsay Hunt症候群(以下,Hunt症候群),外傷に起因する外傷性顔面神経麻痺などに分類される。これらに対し,副腎皮質ステロイド大量療法が広く用いられる。Bell麻痺やHunt症候群の場合は,抗ヘルペスウイルス薬による治療も併用される。Bell麻痺とHunt症候群で,末梢性顔面神経麻痺症例全体のおよそ7割を占める。発症早期に治療が開始されたBell麻痺の予後はおおむね良好であり,約90%以上の症例は治癒に至る。一方Hunt症候群の場合,早期に治療を施しても20%以上が難治性であるとされる1,2)。
病態の主軸は共通で,側頭骨内の顔面神経管内における神経の浮腫・虚血・絞扼と考えられている。このため,高度の末梢性顔面神経麻痺で予後不良と推測される場合は,顔面神経減荷術の適応となる例もある。
われわれはすでに,顔面神経減荷術を行った9症例の治療成績について報告した3)。今回はこれらの報告例も含め,これまでにBell麻痺またはHunt症候群に対し当科で顔面神経減荷術を施行した24症例について検討した。
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