耳鼻咽喉科・頭頸部外科93巻13号

2021年12月発行

特集 頭頸部の再建をマスターする！〔特別付録Web動画〕

《部位別再建法》

遊離皮弁による口腔・中咽頭の再建

著者： 安永能周¹ 荒木淳¹ 中尾淳一¹ 石井義剛¹ 森裕晃¹

所属機関： ¹静岡県立静岡がんセンター再建・形成外科

ページ範囲：P.1108 - P.1113

文献概要

POINT

●遊離皮弁による口腔・中咽頭の再建で重要なのは，温存された組織を最大限に活かして，嚥下機能と構音機能を保つことである。

●舌半切の再建では薄い皮弁を用いて，残存舌の動きを妨げない再建を行う。

●舌亜全摘以上の再建では口峡部を狭く作ることによって，嚥下に必要な中咽頭圧と，構音に必要な狭い共鳴腔を確保する。

●中咽頭の上側壁中心型欠損に対する再建では，Gehanno法や舌根縫い上げ法を行い，鼻咽腔と口峡部をできるだけ狭く作る。

＊本論文中，動画マークのある箇所につきましては，関連する動画を見ることができます（公開期間：2024年12月）。

参考文献

1）中川雅裕・他：舌癌切除後の欠損範囲と再建法の選択．形成外科55：5-14，2012

2）宮本慎平・他：舌半切除例における機能的再建法．形成外科55：31-37，2012

3）石田勝大・他：舌半切除後再建の術後機能成績と今後の問題点．頭頸部癌41：7-12，2015

4）日本頭頸部癌学会（編）：頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版．金原出版，東京，2017，pp101-102（CQ2-8 舌亜全摘出以上の症例において，隆起型の舌の再建は術後機能の保持に有用か？）

5）Yamaguchi K, et al：Quantitative analysis of free flap volume changes in head and neck reconstruction. Head Neck 34：1403-1407, 2012

6）小村 健・他：軟口蓋及び中咽頭側壁を含む腫瘍切除後の再建法と術後機能．日口腔科会誌45：72-79，1996

7）赤澤 聡・他：中咽頭上側壁切除・下咽頭部分切除の再建法—良好な燕下機能をめざして．医のあゆみ255：265-270，2015

8）中川雅裕・他：側壁癌切除後の再建法．日臨75（増刊2）：341-346，2017

9）濱畑淳盛・他：中咽頭側壁切除における軟口蓋の機能再建．PEPARS 136：25-32，2018

10）木股敬裕・他：口腔・中咽頭の再建．MB ENT 67：62-67，2006

11）Gehanno P, et al：Velopharyngeal rehabilitation after transmaxillary buccopharyngectomy extending to the soft palate. Ann Otolaryngol Chir Cervicofac 102：135-137, 1985（article in French）

12）Shapiro BM, et al：Primary reconstruction of palatal defects. Otolaryngology Head Neck Surg 95：581-585, 1986