文献詳細
文献概要
--------------------
あとがき
著者: 丹生健一
所属機関:
ページ範囲:P.288 - P.288
文献購入ページに移動 私ごとですが,昨年,還暦を機に受けた人間ドックで腹部にパラガングリオーマ(傍神経節腫)がみつかり,年末に摘出手術を受けました。お陰様で術後経過は順調で,年始より従来通り働いています。術前に血液検体を用いた遺伝子検査ではSDHB の遺伝子異常は認められず,病理標本の免疫組織染色でもコハク酸脱水素酵素(SDHB)は正常に発現しており,再発や転移の可能性は低いようです。ご存知の通り,傍神経節腫は頸動脈小体にも発生します。悪性度の予測や遺伝相談のため,患者さんには多施設共同研究としてSDHB 遺伝子検査をお勧めしてきましたが,まさか自分が検査を受けるとは思ってもみませんでした。
残念ながらSDHB 遺伝子検査はいまだ保険適用となっていませんが,耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の様々な疾患で免疫染色や遺伝子検査・分子病理診断が,鑑別診断や治療効果・予後予測に実臨床レベルで欠かすことができないものとなってきました。ということで,今月号は「基本から学ぶ病理組織の見方」と題して,最新の病理組織の見方・病理組織報告書の読み方を基礎から学んでいただくように企画しました。総論では,著書『スパルタ病理塾』で有名な小島伊織先生(大同病院病理診断科)にHE染色標本が読める楽しさを,続いて診断病理総合データベース『いむーの』を運営する伊藤智雄先生(神戸大学病理診断科)には様々な特殊染色/免疫染色について,唾液腺癌の大規模多施設共同研究を推進している稲垣宏先生(名古屋市立大学臨床病態病理学)には分子病理診断についての解説をお願いし,各論では各領域のエキスパートの先生に代表的な病理組織の見方をご執筆いただいています。さらに,本号では山梨大学名誉教授 増山敬祐先生のアレルギー性鼻炎の総説も掲載しており,大変充実した内容となっております。皆様,ぜひご通読ください。
残念ながら
掲載誌情報