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増刊号 術前画像と術中解剖—カンファレンスで突っ込まれないための知識〔特別付録Web動画〕 1.耳領域
耳小骨奇形・連鎖離断に対する手術
著者: 田中康広1
所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.30 - P.35
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●耳小骨奇形はツチ骨またはキヌタ骨の固着(以下,固着型),キヌタ・アブミ関節の離断(以下,離断型),アブミ骨固着の3つに分類される1).固着型の診断は画像では困難な場合が多いものの,ツチ骨またはキヌタ骨と上鼓室の骨壁との間で起こることが多く,術中に同部を注意深く観察し,可動性を確認する.
●離断型はキヌタ・アブミ関節に離断を生じることが多く,術前の画像にて同部に焦点を当てた観察が必要であり,キヌタ骨長脚やアブミ骨上部構造の残存度により耳小骨形成の方法が異なるため,術中にキヌタ骨,アブミ骨の状態を見極めて術式を選択する.
●耳小骨の連鎖離断があり耳小骨奇形が疑われても,鼓室内にわずかな軟部陰影を認めた場合には先天性真珠腫による骨破壊の可能性があるため,常に先天性真珠腫の存在を念頭に置いて画像診断を行う.
*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年4月)。
●耳小骨奇形はツチ骨またはキヌタ骨の固着(以下,固着型),キヌタ・アブミ関節の離断(以下,離断型),アブミ骨固着の3つに分類される1).固着型の診断は画像では困難な場合が多いものの,ツチ骨またはキヌタ骨と上鼓室の骨壁との間で起こることが多く,術中に同部を注意深く観察し,可動性を確認する.
●離断型はキヌタ・アブミ関節に離断を生じることが多く,術前の画像にて同部に焦点を当てた観察が必要であり,キヌタ骨長脚やアブミ骨上部構造の残存度により耳小骨形成の方法が異なるため,術中にキヌタ骨,アブミ骨の状態を見極めて術式を選択する.
●耳小骨の連鎖離断があり耳小骨奇形が疑われても,鼓室内にわずかな軟部陰影を認めた場合には先天性真珠腫による骨破壊の可能性があるため,常に先天性真珠腫の存在を念頭に置いて画像診断を行う.
*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年4月)。
参考文献
1)船坂宗太郎・他:先天性キヌタ・アブミ関節離断症(仮称)—発生学的ならびに臨床的考察による新名称の提唱.日耳鼻82:476-482,1979
2)星 雄二郎・他:耳小骨奇形・外傷.JOHNS 33:695-700,2017
3)田中康広・他:当科における小児先天性真珠腫に対する術式の変遷と術式選択の検討.小児耳36:356-362,2015
4)山本 裕・他:鼓室型先天性真珠腫に対する内視鏡下手術.Otol Jpn 23:893-897,2013
5)奥野妙子:先天性真珠腫の診断と治療.日耳鼻 117:838-839,2014
6)宇野芳史・他:鼓室型先天性真珠腫に耳小骨奇形を合併した1例.Otol Jpn 8:546-550,1998
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