icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科93巻8号

2021年07月発行

特集 小児難聴を究める!

小児難聴を取り巻く医学・教育・社会的問題

著者: 加我君孝12

所属機関: 1東京医療センター臨床研究(感覚器)センター 2神尾記念病院

ページ範囲:P.582 - P.587

文献概要

POINT

●新生児聴覚スクリーニングは自動聴性脳幹反応(AABR)を用いる。耳音響放射検査だけを用いるとauditory neuropathyを見逃す恐れがある。

●精密聴力検査は行動反応聴力検査,ABRあるいは聴性定常反応(ASSR)に加え,耳音響放射検査の3つの検査を組み合わせて行い,総合的に判断する。経過を追って繰り返し検査を実施する。

●先天性難聴の確定診断に至った場合,療育あるいは教育施設の選択にあたり,聴能訓練の方法としてauditory verbal,auditory oral,cued speech,指文字,手話法などがあり,それぞれ考え方と施設が異なることを両親に説明する。

●就学後の小学校教育は普通学級,難聴学級,通級,および国立・公立・私立ろう学校を選ぶことができる。教育委員会が関与する場合がある。

●20歳未満は障害児福祉手当,20歳からは障害基礎年金の社会福祉制度がある。

参考文献

1)加我君孝:先天性難聴児を持つ両親への医学的支援と心理的ケア.JOHNS 37:384-388,2021
2)Kaga K(ed):Cochlear implantation in children with inner ear malformation and cochlear nerve deficiency. Springer Nature, Singapore, 2017
3)日本精神神経学会(監):DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,東京,2014,pp314-317
4)文部科学省初等中等教育局特別支援教育課:令和2年度特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査結果の概要,2021年(令和3年)3月
5)加我君孝,日野原重明(編):医療文書の正しい書き方と医療補償の実際 改訂第5版.金原出版,東京,2017
6)加我君孝・他:障害基礎年金診断書を希望して受診した視聴覚障害を訴える1症例.JOHNS 32:263-267,2016
7)文部省:聴覚障害教育の手引—聴覚を活用する指導.海文堂出版,東京,1992
8)文部科学省:聴覚障害教育の手引—言語に関する指導の充実を目指して.ジアース教育新社,東京,2020
9)矢沢国光:ことばはコミュニケーションの中で生まれ育つ.ろう・難聴教育研究会,東京,2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら