耳鼻咽喉科・頭頸部外科93巻8号

2021年07月発行

特集 小児難聴を究める！

《各種小児難聴の最新情報》

機能性・心因性難聴—症状評価のポイントと具体的な対応法

著者： 橋本亜矢子¹

所属機関： ¹静岡県立こども病院耳鼻咽喉科

ページ範囲：P.622 - P.625

文献概要

POINT

●機能性難聴とは，聴覚器に明らかな器質的病変がないにもかかわらず，自覚的な聴力検査で難聴を示す状態である。そのうち，何らかの心理的要因が背景にあるものを心因性難聴という。小児では機能性難聴のうち，ほとんどが心因性難聴である。

●小児心因性難聴の症例に聴覚情報処理障害（auditory processing disorder：APD）が多く認められる。

●心因性難聴の背景にある心理的要因についての支援が必要となることが多い。

●児童精神科，小児神経科医などとの連携が必要となることも多い。

参考文献

1）芦谷道子：小児心因性難聴．MB ENT 205：6-11，2017

2）瀬尾 攝・他；日本耳鼻咽喉科学会社会医療部学校保健委員会：耳鼻咽喉科学校医のための小児心因性難聴への対応指針．日耳鼻103：588-598，2000

3）長井今日子：小児心因性難聴における耳鳴—小児心因性難聴における耳鳴と意義．MB ENT 86：48-53，2015

4）中川尚志：顔面神経検査 アブミ骨筋反射．耳喉頭頸89（増刊）：181-185，2017

5）Rashid SMU, et al：Auditory processing and neuropsychological profiles of children with functional hearing loss. Int J Pediatr Otorhinol 114：51-56, 2018

6）小林一女：心因性難聴と詐聴の取り扱い．日耳鼻122：66-69，2019

7）Parodi M, et al：Childhood psychogenic hearing loss：Identification and diagnosis. European Ann Otorhinolaryngol Head Neck Dis 134：415-418, 2017