AYA世代口腔がん症例の検討
著者:
須波綾
,
安里汐織
,
大西美帆
,
東野正明
,
河田了
ページ範囲:P.872 - P.876
はじめに
adolescent and young adult(AYA)世代とは,15〜39歳の思春期および若年成人であり,就学,就労,結婚,妊娠,出産などAYA世代特有のライフイベントが多い世代である。そのため,AYA世代の診療では小児や壮年・老年世代のがん診療にはみられない特徴や課題が存在する。国立がん研究センターによる全国のがん診療連携拠点病院の院内がん登録データによると,2016〜2017年の2年間で,AYA世代のがんは5万7788例の報告がある1)。AYA世代は小児期と並んでがん死亡率が低く,AYA世代のがんは白血病,リンパ腫などの血液がんや脳腫瘍,甲状腺がん,卵巣がん,子宮がん,乳がん,精巣がん,骨軟部肉腫が上位を占める2)。2018年頭頸部悪性腫瘍登録1万3149例のうち,39歳以下の症例は362例(2.8%)と少ない3)。その原発部位は口腔が169例(46.7%)で最も多く,唾液腺81例(22.4%),鼻副鼻腔43例(11.9%),上咽頭32例(8.9%),中咽頭20例(5.5%),下咽頭12例(3.3%),喉頭5例(1.4%)の順であった。
そこで,AYA世代における口腔がんについて,われわれの施設で経験した症例の特徴について検討した。