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文献概要
原著
endoscopic medial maxillectomy with preservation of inferior turbinate(EMMPI)を用いて摘出した上顎洞血瘤腫の1例
著者: 佐藤孝大12 木村将吾1 中丸裕爾1 本間あや1 鈴木正宣1 本間明宏1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室 2市立札幌病院耳鼻咽喉科・甲状腺外科
ページ範囲:P.887 - P.892
文献購入ページに移動上顎洞血瘤腫とは,上顎洞の易出血性良性腫瘍の総称である。比較的稀な疾患ではあるが,断続的な鼻出血や骨破壊を伴う腫瘤性病変を呈するなど,悪性腫瘍との鑑別が臨床上問題となる1〜4)。性差は3対2で男性に多く,好発年齢は10〜40代と比較的若年者に認め5),50代以上が多くを占める上顎洞扁平上皮癌に比べて好発年齢が低い6〜8)。病因としては真性血管腫や炎症性変化・出血による二次性産物,両者の混在があり9),病理組織学的所見は血管のうっ血や拡張,拡張血管の集簇,出血巣やフィブリンの析出の3つの所見が混在していることが特徴的である10)。根本的治療法は外科的切除であり,腫瘍の局在や大きさによって犬歯窩切開やendoscopic medial maxillectomy(EMM),endoscopic modified medial maxillectomy(EMMM)など,アプローチの異なる術式から選択して手術治療を行う11〜13)。
今回,われわれは上顎洞血瘤腫に対してendoscopic medial maxillectomy with preservation of inferior turbinate(EMMPI)を用いて腫瘤摘出を行った。上顎洞底部の腫瘍基部において術中・術後ともに良好な視認性と操作性が得られたので,文献的考察を含めて報告する。
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