原著
舌潰瘍で発症したメトトレキサート関連リンパ増殖異常症の1例
著者:
柳原太一
,
菊地瞬
,
渡邉菜月
,
武山慧
,
高津南美子
,
尾田丈明
,
原山幸久
,
飯田誠
,
小島博己
ページ範囲:P.1049 - P.1054
はじめに
メトトレキサート(MTX)は,高い有効率と骨破壊抑制効果をもち,低分子の疾患修飾性抗リウマチ薬として用いられる機会が多い1)。その一方で,1991年にEllmanら2),1993年にKamelら3)がMTXの中止によって自然退縮を認めたreversible lymphomaの症例を報告して以来,MTXとリンパ増殖性疾患(lymphoproliferative disorder:LPD)の関連は注目を集め,MTX関連リンパ増殖性疾患(MTX-associated LPD:MTX-LPD)として分類されるようになった。その後,TNF阻害薬などでも同様の報告が挙がり,現在ではこれらをまとめて,その他の医原性免疫不全関連LPD(other iatrogenic immunodeficiency-associated LPD:IID-LPD)と定義され,わが国でもその報告は散見されるようになった4)。今回われわれは,舌潰瘍として発症したMTX-LPDの1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する。