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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科94巻12号

2022年11月発行

文献概要

原著

アルコール性小脳失調症の断酒後長期経過観察例

著者: 中村允人1 井上彰子1 金海隆子1 山口裕聖1 松浦賢太郎1 長舩大士1 和田弘太1

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.1075 - P.1081

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はじめに

 アルコール性小脳失調症は,長期間の飲酒により生じる小脳失調症である。過去にはアルコール依存症・中毒症症例における平衡機能の統計学的報告が存在し,電気眼振図検査(electronystagmography:ENG)においてeye tracking test(ETT),optokinetic nystagmus test(OKN)などでの小脳障害の異常出現率が半数以上であったこと,断酒後3年以内の症例では異常出現率が初回とほとんど変わらないか,やや減少していることが報告されている1,2)。しかし,断酒後3年以上の長期経過については明らかとなっていない。

 そこで今回われわれは,29歳時にアルコール性小脳失調症と診断され,それ以降断酒し,現在まで38年間経過観察を行っている症例について報告する。

参考文献

1)伊藤彰紀・他:アルコール依存症者に対する神経耳科学的検討.日耳鼻99:1110-1118,1996
2)松岡 出・他:慢性アルコール中毒患者と断酒者の平衡障害について.Equilibrium Res 38:257-259,1979
3)Victor M, et al:A restricted form of cerebellar cortical degeneration occurring in alcoholic patients. AMA Arch Neurol 1:579-688, 1959
4)高須俊明:アルコールと神経障害.日内会誌75:1209-1213,1986
5)松吉秀武・他:当科における両側半規管麻痺症例についての臨床的検討.Equilibrium Res 67:101-107,2008
6)Tavares MA, et al:A morphometric Golgi analysis of the Purkinje cell dendritic tree after long-term alcohol consumption in the adult rat. J Neurocytol 12:939-948, 1983
7)水島和幸・他:小脳の疾患と治療—アルコール性・中毒性小脳失調症.Clin Neurosci 23:1416-1418,2005
8)安藤 烝・他:慢性アルコール中毒における小脳変性—とくに限局性小脳皮質変性症の1例をめぐって.脳と神経37:329-336,1985
9)藤田信哉:聴覚・平衡機能検査と診断.ENTONI(234):12-20,2019
10)Dandy WE:The surgical treatment of intracranial aneurysms of the internal carotid artery. Ann Surg 114:336-340, 1941

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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