文献詳細
文献概要
原著
舌根部に発生した骨性分離腫の2例
著者: 小池智1 岩元秀輔1 木村隆幸1 山本雅司1 佐藤満雄1 北野睦三1 大月直樹1 安松隆治1
所属機関: 1近畿大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室
ページ範囲:P.1169 - P.1174
文献購入ページに移動舌根部に生じる骨性病変は比較的稀である。舌に発生した骨または軟骨性病変は,1913年にMonserrat1)がOsteotomaとして報告したのが最初とされる。その後,1971年にKrollsら2)が,本病変を骨性分離腫(osseous choristoma)と称することを提唱した。
分離腫とは,「胎生期における器官・組織の発生中に,組織の一部が離断して異常な部位に出現したもので腫瘍状を呈するもの」と定義され3),発育過程に発生した結節性の異所性組織と考えられている。口腔・咽頭内軟組織に発生し硬組織を形成する分離腫は,混在する組織により骨性分離腫,軟骨性分離腫および骨軟骨性分離腫に分類されており,いずれも稀である。分離腫は元の組織や臓器から離れた場所で原始細胞が腫瘍状に増殖したものとみなし,骨腫や過誤腫,二次的石灰化と区別すべきとされている2)。
今回われわれは,舌根部に発症した骨性分離腫の2例を経験したので,その概要を,文献的考察を加えて報告する。
参考文献
掲載誌情報