icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科94巻13号

2022年12月発行

文献概要

原著

舌根部に発生した骨性分離腫の2例

著者: 小池智1 岩元秀輔1 木村隆幸1 山本雅司1 佐藤満雄1 北野睦三1 大月直樹1 安松隆治1

所属機関: 1近畿大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室

ページ範囲:P.1169 - P.1174

文献購入ページに移動
はじめに

 舌根部に生じる骨性病変は比較的稀である。舌に発生した骨または軟骨性病変は,1913年にMonserrat1)がOsteotomaとして報告したのが最初とされる。その後,1971年にKrollsら2)が,本病変を骨性分離腫(osseous choristoma)と称することを提唱した。

 分離腫とは,「胎生期における器官・組織の発生中に,組織の一部が離断して異常な部位に出現したもので腫瘍状を呈するもの」と定義され3),発育過程に発生した結節性の異所性組織と考えられている。口腔・咽頭内軟組織に発生し硬組織を形成する分離腫は,混在する組織により骨性分離腫,軟骨性分離腫および骨軟骨性分離腫に分類されており,いずれも稀である。分離腫は元の組織や臓器から離れた場所で原始細胞が腫瘍状に増殖したものとみなし,骨腫や過誤腫,二次的石灰化と区別すべきとされている2)

 今回われわれは,舌根部に発症した骨性分離腫の2例を経験したので,その概要を,文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1)Monserrat M:Osteome de la langue. Bull Soc Anat 88:282-283, 1913
2)Krolls SO, et al:Osseous choristomas(osteomas)of intraoral soft tissues. Oral Surg Oral Med Oral Pathol 32:588-595, 1971
3)原 弘・他:組織奇形.飯島宗一・他(編):現代病理学大系7.生体形成とその異常.中山書店,東京,1994,pp205-218
4)牟田哲三郎・他:舌根部骨腫症例追加.耳鼻咽喉11:1016-1018,1938
5)Yoshimura H, et al:Osseous choristoma of the tongue:a case report with dermoscopic study. Mol Clin Oncol 8:242-245, 2018
6)戸田京子・他:舌背部に発生した骨性分離腫例.耳鼻臨床105:647-652,2012
7)林 暁利・他:舌根部に発生した骨性分離腫の2例.耳鼻臨床 補冊156:95-100,2021
8)小堀善則・他:舌根部に発生した骨性分離腫の1例.口科誌60:259-263,2011
9)水上良二・他:舌根部に発生した骨性分離腫の1例.日口外誌34:2009-2011,1989
10)Bernard PJ, et al:Lingual osteoma. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 115:989-990, 1989
11)Roy JJ, et al:Osteochondroma of the tongue. Arch Pathol 89:565-568, 1970
12)河西敬子・他:上顎歯肉に生じた骨軟骨性分離腫の1例.日口外誌53:179-182,2007
13)野添悦郎・他:舌背後方部に発生した骨性分離腫の1例.日口外誌39:940-942,1993
14)Long DE, et al:Reccurrent intraoral osseous choristoma. Report of a case. Oral Surg Oral Med Oral Pathol 72:337-339, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?