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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科94巻2号

2022年02月発行

雑誌目次

特集 鼻副鼻腔・頭蓋底手術のスキルアップ—鼻科手術指導医をめざして!〔特別付録Web動画〕

ページ範囲:P.117 - P.117

《総論》

鼻科手術指導医とは—これをめざすことはESS上達の近道でもある!

著者: 鴻信義

ページ範囲:P.118 - P.122

POINT

●安全かつ適切に鼻科手術を行う技術の担保,および若手医師を教育する指導者育成を目的として,日本鼻科学会が主導し鼻科手術指導医制度が開始された。

●申請資格や基準にのっとり認可施設および暫定指導医が認定されている。

●鼻科手術の中心は内視鏡下鼻副鼻腔手術であり,特にⅣ型を適切に施行できることを目的として手術技術の習得に励むことは,結果的に鼻副鼻腔,頭蓋底疾患に対する内視鏡下手術の上達に大きく寄与する。

《Off the jobトレーニング》

手術セミナーから学ぶ—達人のオペを見てコツを盗め

著者: 加納康太郎

ページ範囲:P.124 - P.127

POINT

●手術セミナーではその道を極めようとしている達人の手術を見学することができるため,非常に有意義な体験である。

●鼻内内視鏡手術はモニターを通して術者と同じ術野を共有することができるため,手術見学から得られる知識や情報はとても多い。

●手術見学ではメモ帳を持参し,気づいたことをその場で書き留めると,のちのち鮮明に思い出すことができる。

●具体的な知識や技術を吸収して必ず持ち帰るという意気込みが大切である。

鉗子・デブリッダー操作のトレーニング

著者: 前田真由香 ,   森恵莉

ページ範囲:P.128 - P.133

POINT

●鉗子は先端がぶれないように使用することが大切である。

●デブリッダーは合併症を起こさない適切な使い方を学ぶ。

●手術動画による復習や手術ノートの作成は技能向上の一手である。


*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年2月)。

CT画像付き3Dモデルを用いた実践的手術トレーニング

著者: 鈴木正宣

ページ範囲:P.134 - P.139

POINT

●内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)の習得には,十分な局所解剖の理解と反復練習が欠かせない。

●実際の症例のCT画像をもとに副鼻腔を精巧に再現した3Dモデルが開発された。

●大量生産が可能で反復練習できるほか,指導者による同じ解剖での模範手術からも学ぶことができる。

●遠隔医療システムと組み合わせることで,国境を越え海外との合同手術トレーニングさえ可能である。


*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年2月)。

内頸動脈損傷修復モデルを用いたトレーニング—大血管損傷に対応するために

著者: 朝子幹也 ,   高田洋平 ,   阪本大樹 ,   東山由香 ,   高田真紗美 ,   濱田聡子 ,   尹泰貴 ,   森田瑞樹 ,   岩井大

ページ範囲:P.140 - P.144

POINT

●内頸動脈損傷は致死的副損傷であり,速やかな対応を要する。

●事前のイメージトレーニング,シミュレーションが重要である。

●適切な吸引操作で出血点を確認し,マッスルパッチで止血をする。

●各大血管損傷モデルはいずれも有用で,実習し経験を積むことが望ましい。


*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年2月)。

《On the jobトレーニング》

内視鏡操作のポイント—直視鏡も斜視鏡も上手にフル活用

著者: 竹内裕美 ,   中村陽祐 ,   中森基貴

ページ範囲:P.146 - P.150

POINT

●内視鏡を保持して長時間の手術をするには,なるべく楽な姿勢で手術できる環境が必要である。

●最も一般的な内視鏡である直視鏡の扱いに習熟することが内視鏡手術の基本となる。

●斜視鏡には30度,45度,70度があるが,斜視角度が大きくなるほど視軸と操作軸の差が大きくなり,モニターを見ながらの操作が難しくなる。

●手術を円滑に進めるには,内視鏡先端のレンズの汚れを少なくすることが重要である。

解剖学的ランドマークの見つけ方

著者: 和田弘太

ページ範囲:P.151 - P.157

POINT

●中鼻甲介がendoscopic sinus surgery(ESS)における最も重要なランドマークとなる。前方では鼻堤,後方では第三基板(中鼻甲介基板)と連続する構造物が中鼻甲介である。

●鉤状突起をきれいに切除することで外側限界の眼窩壁が,第三基板を上方に追うことで上限界である頭蓋底が明視下になる。

●第三基板をランドマークにすると前篩骨動脈の位置が理解しやすい。

●Onodi cellと蝶形骨洞前壁の分類から,視神経管が最後部篩骨洞および蝶形骨洞前壁のランドマークとなる。

術中出血のコントロール—上手な局所麻酔,術野のマネジメント

著者: 都築建三

ページ範囲:P.158 - P.162

POINT

●視野と操作性の確保が手術操作の鍵となる。

●術前の消炎は出血が減少して術野が良好になる。

●手術は術野を内視鏡画面正中に位置させて肩の力を抜いて行う。

●全身の血圧を下げることにより術中出血が減少する。

●局所アドレナリンの使用は,術野での出血量を減少させる。

●眼窩壁・頭蓋底・前篩骨動脈を先に同定して副損傷を回避する。


*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年2月)。

《副損傷の回避,起きてしまったときの対処方法》

頭蓋底損傷

著者: 田中秀峰

ページ範囲:P.163 - P.166

POINT

●見つけやすい頭蓋底ポイントを,術前CTでプランニングする。

●複数箇所で頭蓋底を同定し,わかりにくい場所はその前後から評価する。

●頭蓋底損傷が起きてしまったら,止血を十分に行い内視鏡視野を明瞭にして,頭蓋底面と髄液漏ポイントを確認する。

●損傷部位の辺縁を明瞭にし,損傷の大きさに合わせた自家組織での修復をする。


*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年2月)。

眼窩損傷

著者: 小林正佳

ページ範囲:P.167 - P.174

POINT

●眼窩損傷回避のためには十分な鼻副鼻腔構造の理解,良好な術野の確保,安全な術式の選択と手術操作が必要である。

●術前CTでの手術プランニングは絶対に必要である。

●サージカルトレーニングはぜひ施行すべきである。

●眼窩損傷が生じた場合,その程度により対処方法が異なる。対処法はあらかじめマスターしておくべきである。

原著

99mTcO4シンチグラフィで高度集積を認めた耳下腺上皮筋上皮癌の1例

著者: 吉澤宏一 ,   高畠伶奈 ,   栢野香里

ページ範囲:P.175 - P.181

はじめに

 耳下腺上皮筋上皮癌は,唾液腺腫瘍のなかで1%未満と稀な組織型の腫瘍である。今回,99mTcO4シンチグラフィ(以下,Tcシンチグラフィ)で高度集積を認めた耳下腺上皮筋上皮癌の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

前頭開頭術後に生じた前頭蓋底粘液囊胞の2例

著者: 山田真司 ,   鈴木正宣 ,   中丸裕爾 ,   本間あや ,   中薗彬 ,   木村将吾 ,   安川真一郎 ,   蠣崎文彦 ,   本間明宏

ページ範囲:P.183 - P.187

はじめに

 前頭開頭術はクモ膜下出血や前頭蓋底腫瘍に対して行われる脳神経外科領域の標準術式である1)。この術式では前額から頭蓋内にアプローチするため,前頭洞の発育の程度によっては,術中に創部に前頭洞が開放され,頭蓋内と鼻副鼻腔が交通することがある。その場合,前頭洞粘膜を鼻前頭管に充塡し,頭蓋内と副鼻腔を遮断する方法が行われる場合が多いが,術後に粘液囊胞を生じうることが問題となる。

 今回,われわれは前頭開頭術後に生じた粘液囊胞を内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)で開放した2症例を報告する。

対側眼窩先端症候群をきたした頭蓋底骨髄炎の1例

著者: 熊田純子 ,   中屋宗雄 ,   伊東明子 ,   稲吉康比呂 ,   井上亜希 ,   木田渉

ページ範囲:P.188 - P.192

はじめに

 1968年にChandler1)は,悪性外耳道炎から頭蓋底へ炎症が波及した17例を頭蓋底骨髄炎(skull base osteomyelitis:SBO)として報告している。SBOは,頻度は稀だが一度発症すると脳神経麻痺,髄膜炎,静脈洞血栓症を伴い,致死的な経過をたどる場合もあるため注意すべき疾患である。しかし,明確な診断基準や確立した治療法がないため,方針決定に難渋することも少なくない。今回われわれは,悪性外耳道炎の治療後にSBOを起こし,さらに対側の眼窩先端症候群を発症した1例を経験したので文献的考察を加え報告する。

ボタン型アルカリ電池による幼児の鼻腔異物症例

著者: 加藤照幸 ,   荒井真木 ,   大山和可子

ページ範囲:P.193 - P.196

はじめに

 幼児は手に持ったものを鼻腔内や外耳道内に押し込み,異物にしてしまう可能性がある。また口のなかに入れると誤嚥・誤飲してしまうことがある。近年,電化製品の小型化に伴い小型のボタン型アルカリ電池が普及した。ボタン型アルカリ電池が異物となった場合,粘膜組織障害を引き起こすことが報告されている1,2)。誤嚥・誤飲をした症例が多く報告されている3)が,鼻腔異物となり鼻粘膜損傷をきたした報告例は少ない1〜3)。今回われわれは,鼻中隔穿孔と鼻粘膜損傷をきたしたボタン型アルカリ電池による幼児の鼻腔異物症例を経験したので報告する。

硬口蓋に進展した上顎洞血瘤腫の1例

著者: 加藤照幸 ,   荒井真木 ,   野澤美樹

ページ範囲:P.197 - P.202

はじめに

 血瘤腫は,上顎洞など副鼻腔の閉鎖腔に何らかの原因で出血と器質化が繰り返され腫瘤が形成される病態であり,病理学的には腫瘍ではなく臨床的疾患名である。鼻出血,鼻閉,頰部腫脹などの症状を伴い,画像検査では骨欠損を認めることもあるため,悪性腫瘍との鑑別が重要である。今回われわれは,上顎洞に発生して硬口蓋に進展し悪性腫瘍と鑑別が困難であった血瘤腫を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

書評

がんのリハビリテーションマニュアル 第2版—周術期から緩和ケアまで

著者: 志真泰夫

ページ範囲:P.145 - P.145

 今日,がん医療では治療やケアの進歩に伴い,患者の生存期間が延長し,がんと共生する時代となった。

 わが国におけるがんのリハビリテーションの黎明期は,2002年に静岡県立静岡がんセンターが開院し,リハビリテーション科が設けられたことに始まる。その時の初代部長は,本書の編者の辻哲也先生である。そして,2010年度診療報酬改定で「がん患者リハビリテーション料」が設けられて,これを契機としてがんのリハビリテーションの成長期が始まった。それから4年を経て「がん対策基本法」(2016年改正)第17条に「がん患者の状況に応じた良質なリハビリテーションの提供が確保されるようにすること」と定められ,がんのリハビリテーションは法的な根拠を持つようになった。そして,本書初版から10年を経て,この間の臨床と研究の成長を踏まえて,第2版が発刊された。

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目次

ページ範囲:P.113 - P.113

欧文目次

ページ範囲:P.115 - P.115

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.204 - P.204

あとがき

著者: 鴻信義

ページ範囲:P.208 - P.208

 寒い日が続きますが,皆様いかがお過ごしでしょうか。

 本号が発刊され皆様のお手元に届く頃はいよいよ北京五輪ですね。日本勢の活躍や如何に!? 学生時代スキー部員だった自分は,冬季五輪がとても楽しみです。アスリートの躍動する姿は,長引くコロナ禍の鬱憤を晴らし元気や感動をくれます。東京五輪での日本選手団のメダルラッシュには心躍りました。でもこの1年,それ以上に嬉しかったスポーツ界の出来事が,モータースポーツの華F1グランプリで,HONDAエンジンを搭載するレッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペン選手が年間チャンピオンに輝いたことです! 自分は昔からF1が大好きで,週末ごとに開催されるレースをドキドキしながらチェックしていました。2021年限りでF1から撤退するHONDAエンジンに30年ぶりの年間チャンピオンをもたらし,しかもアブダビでの最終戦の最後の1周で大逆転し勝利するというもの凄いドラマに胸熱でした! 30年前のチャンピオンが今は亡き「音速の貴公子」アイルトン・セナ。今では当たり前のレース中のオンボードカメラ映像があの頃すでにあって,速さや臨場感に魅了されていました。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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