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特集 中耳・側頭骨手術のスキルアップ—耳科手術指導医をめざして!〔特別付録Web動画〕 《副損傷の回避,起きてしまったときの対処方法》
顔面神経損傷
著者: 山田啓之1
所属機関: 1愛媛大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
ページ範囲:P.258 - P.263
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●顔面神経の副損傷を回避するためには,①解剖を熟知し,②安全な術野を作り,③神経を同定し,④神経障害が生じない病変清掃を行うこと,が求められる。
●安全な術野を作るためには術前に患者の頭位を確認し,広くて明るい術野展開を心がける。また電気刺激によるモニター監視装置を必要に応じて用いる。
●顔面神経の同定はサジ状突起,外側半規管,アブミ骨,キヌタ骨短脚,顎二腹筋稜をランドマークとする。顔面神経管を削開して骨壁を薄くすると,走行を確実に同定できる。
●病変の清掃は鈍的に行うだけではなく,状況に応じて鋭的に行う。また,側頭骨CT検査で異常がない症例でも骨欠損の可能性を常に念頭に置き,病変を清掃する。
*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年3月)。
●顔面神経の副損傷を回避するためには,①解剖を熟知し,②安全な術野を作り,③神経を同定し,④神経障害が生じない病変清掃を行うこと,が求められる。
●安全な術野を作るためには術前に患者の頭位を確認し,広くて明るい術野展開を心がける。また電気刺激によるモニター監視装置を必要に応じて用いる。
●顔面神経の同定はサジ状突起,外側半規管,アブミ骨,キヌタ骨短脚,顎二腹筋稜をランドマークとする。顔面神経管を削開して骨壁を薄くすると,走行を確実に同定できる。
●病変の清掃は鈍的に行うだけではなく,状況に応じて鋭的に行う。また,側頭骨CT検査で異常がない症例でも骨欠損の可能性を常に念頭に置き,病変を清掃する。
*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年3月)。
参考文献
1)Wadin K, et al:The labyrinthine portion of the facial canal. A comparative radioanatomic investigation. Acta Radiol 28:17-23, 1987
2)山田啓之・他:顔面神経麻痺の治療法—手術治療.耳喉頭頸88:474-479,2016
3)中村美弥子:CTによる内耳道・前庭水管・蝸牛小管と含気腔の計測.日耳鼻91:1002-1011,1988
4)柳原尚明:側頭骨内顔面神経麻痺における骨性顔面神経管の意義.柳原尚明(編):側頭骨内顔面神経麻痺—病態と治療.愛媛大学医学部耳鼻咽喉科学教室,愛媛,1986,pp105-126
5)長倉真澄:顔面神経及び顔面神経管の組織解剖学的研究.日耳鼻69:1629-1648,1966
6)May M, et al:The facial nerve, May's 2nd ed. Thieme, New York, 2000, pp19-56
7)野村恭也・他:耳科学アトラス—形態と計測値,第4版.丸善出版,東京,2017,pp120-139
8)村上信五:経中頭蓋窩アプローチにおける顔面神経の温存と再建.Facial Nerv Res 39:37-38,2020
9)Smouha EE, et al:Cholesteatoma. Thieme, New York, 2012, pp75-96
10)Jackler RK:Ear surgery illustrated. A comprehensive atlas of otologic microsurgical techniques. Thieme, New York, 2020, pp324-375
11)村上信五:側頭骨内顔面神経損傷の予防と対応.JOHNS 19:312-316,2003
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