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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科94巻4号

2022年04月発行

雑誌目次

特集 CT典型所見アトラス—まずはここを診る!

ページ範囲:P.309 - P.309

《耳領域》

外耳・中耳炎—急性乳様突起炎/慢性中耳炎/真珠腫性中耳炎/悪性外耳道炎

著者: 森田由香

ページ範囲:P.310 - P.314

POINT

●CTにうつるものは確実に存在する! 微細構造も詳細に確認する。

●側頭骨CTは骨をみる! 骨破壊の有無を確認する。

●周囲への炎症波及をみるためには造影CTが必要!

外耳・中耳・内耳奇形—先天性外耳道閉鎖症/耳小骨奇形/内耳奇形/前庭水管拡大症

著者: 南修司郎

ページ範囲:P.315 - P.319

POINT

●外耳道閉鎖症は,Jahrsdoerfer grading system 8点以上が外耳道造設術の適応と考えられる。

●内耳奇形は,蝸牛軸の有無と蝸牛神経低形成の有無によるシンプルなgrading systemが人工内耳装用効果に相関する。

●蝸牛神経管の径が1.5mm未満の場合は,蝸牛神経低形成が示唆される。

外耳・中耳・側頭骨頭蓋底腫瘍—外耳道がん/錐体尖部コレステリン肉芽腫/聴神経腫瘍/顔面神経鞘腫/グロムス腫瘍

著者: 大石直樹

ページ範囲:P.320 - P.323

POINT

●外耳道がんは,外耳道骨壁への浸潤,中耳や顔面神経周囲への進展の有無をCTで判断する。

●錐体尖部コレステリン肉芽腫は,脳ドックなどで偶然発見される例も多く,CTでは内部の隔壁の有無により正常な骨髄と区別する。

●内耳道所見のみでは聴神経腫瘍と顔面神経鞘腫の鑑別は難しい場合が多いが,顔面神経鞘腫では顔面神経迷路部から膝神経節にかけて病変がみられることが特徴である。

●グロムス腫瘍は,頸静脈孔付近の骨壁の破壊像がみられることが典型所見で,CTアンギオグラフィでの著明な造影所見も有用である。

《鼻副鼻腔領域》

鼻副鼻腔炎—急性副鼻腔炎/慢性鼻副鼻腔炎/好酸球性副鼻腔炎/真菌性副鼻腔炎(真菌球・アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎・浸潤性真菌性副鼻腔炎)/歯性上顎洞炎

著者: 荻野展広 ,   尾尻博也

ページ範囲:P.324 - P.328

POINT

●鼻副鼻腔炎において治療方針の決定や,MRIなどの追加検査を必要とする病態なのかを区別するため,CT検査の意義は大きい。

●代表的な副鼻腔炎症性疾患の典型所見をまとめた。

●CT検査でどこに注目すべきかを述べた。

鼻中隔彎曲/顔面外傷—鼻中隔彎曲症/鼻骨骨折/眼窩壁骨折/顔面骨骨折/視神経管骨折

著者: 高林宏輔

ページ範囲:P.329 - P.335

POINT

●手術を見据えた画像の読影を心がける。

●外傷症例では,骨条件だけでなく軟部条件に階調処理をすることで得られる情報が増える。

●緊急手術を要するcomputed tomography(CT)所見について認識する。

●2次元CTは偏位の少ない骨折の描出に優れ,3次元CTは診断・評価や治療計画に有用である。

鼻副鼻腔腫瘍/頭蓋底疾患—乳頭腫/血瘤腫・血管腫・血管線維腫/鼻副鼻腔悪性腫瘍(上顎がん・嗅神経芽細胞腫)/髄膜脳瘤・髄膜瘤

著者: 牧原靖一郎 ,   假谷伸

ページ範囲:P.336 - P.341

POINT

●内反性乳頭腫の基部推定には,骨肥厚像,もしくは骨融解像が重要である。

●血管線維腫は蝶口蓋孔を中心に周囲に広がる腫瘤で,造影CTで強く濃染される。

●上顎がんは隣接する副鼻腔の骨破壊を生じ,壊死部位により内部不均一となる。

●頭蓋底に発生した髄膜脳瘤は,頭蓋底の骨欠損を介し,頭蓋内からの脳組織の脱出,脳溝の連続を認める。

《咽喉頭・頭頸部領域》

口腔疾患—舌がん/ガマ腫/唾石/口腔底膿瘍

著者: 鈴木貴博 ,   太田伸男

ページ範囲:P.342 - P.345

POINT

●舌がんは舌縁に好発し,造影CTで軽度〜中等度の高吸収域を呈する境界不明瞭な腫瘤性病変として描出される。

●ガマ腫は単純CTにおいて舌下間隙や顎下間隙に局在する境界明瞭な低吸収域として認められる。舌下型ガマ腫は楕円形の形態を呈するものが多く,顎下型ガマ腫はいびつな形状を示すものが多い。

●唾石は顎下腺に好発し,耳下腺での発生は稀である。単純CTでは唾液腺内もしくは唾液腺導管の走行に沿って局在する石灰化陰影として認められ,そのサイズや個数はさまざまである。

●口腔底膿瘍は歯性感染に起因することが多く,顎下間隙に好発する。診断には造影CTが有用で,膿瘍は辺縁に造影増強効果を伴う低吸収域として描出される。

咽喉頭腫瘍—喉頭がん/上咽頭がん/中咽頭がん/下咽頭がん

著者: 齋藤陽元 ,   折田頼尚

ページ範囲:P.346 - P.350

POINT

●MRIとCTの住み分けを理解して,適宜モダリティを使い分けることが大事である。

●CTは時間分解能に優れており,主に骨・軟骨への進展評価において有用である。

●MRIに加えてCT所見を併せることで正確な病期診断が可能となり,機能温存の可否も含めたより適切な治療戦略を立てることができる。

甲状腺・唾液腺疾患—急性化膿性甲状腺炎/慢性甲状腺炎(橋本病)/甲状腺腫瘍/急性耳下腺炎/シェーグレン症候群/IgG4関連涙腺・唾液腺炎(IgG4-Mikulicz病)/耳下腺腫瘍

著者: 下田光 ,   丹生健一

ページ範囲:P.351 - P.357

POINT

●甲状腺,唾液腺の炎症性疾患において,CT検査は周囲組織への波及を評価することができる。ただし,血液検査や超音波検査も診断を確定するにあたり実施すべきである。

●シェーグレン症候群やIgG4関連涙腺・唾液腺炎のような唾液腺免疫疾患は,両側性に変化を呈するものであり,また特に後者では多臓器病変も伴うため,CT画像で評価すべきである。

●甲状腺・唾液腺腫瘍において,腫瘍の性状などの局所の評価は超音波検査が優れているが,超音波検査では骨への浸潤や転移リンパ節の位置関係,遠隔転移の有無の評価が困難であり,CT検査は必要不可欠である。

頸部腫瘤—頸部リンパ節結核/頸部膿瘍・下降性壊死性縦隔炎/サルコイドーシス/頸部リンパ節転移/悪性リンパ腫/頸動脈小体腫瘍/副咽頭間隙腫瘍(神経鞘腫・唾液腺腫瘍)

著者: 西野宏

ページ範囲:P.358 - P.362

POINT

●中央に低吸収領域を伴うものは,結核性リンパ節炎,頸部膿瘍,扁平上皮癌頸部リンパ節転移である。

●内部が均一に描出されるものは,サルコイドーシス,悪性リンパ腫である。

●頸動脈小体腫瘍は,頸動脈分岐部の造影効果が著明な病変として描出される。

●副咽頭間隙の脂肪と血管の偏位を確認することで,副咽頭間隙腫瘍の由来部位が推定できる。

囊胞性腫瘤—正中頸囊胞/側頸囊胞/血管腫/脈管奇形

著者: 大石宏虎 ,   喜夛淳哉 ,   三澤清

ページ範囲:P.364 - P.368

POINT

●頸部囊胞性腫瘤は局在や性状,発症年齢などから原因疾患を推定することができる。

●CTから得られる情報は病変の局在評価および術式選択に有用である。

●囊胞の性状評価には超音波,MRI,試験穿刺などを併用する。

Review Article

遺伝性難聴—解析技術の進歩と臨床応用

著者: 宇佐美真一

ページ範囲:P.370 - P.382

Summary

●従来原因不明であった難聴が,遺伝子解析技術の進歩により原因遺伝子ごとにサブタイプ分類できるようになってきた。

●遺伝子診断に基づいた難聴の個別化医療が行われるようになってきている。

●特に人工内耳の発達によって,耳鼻咽喉科医は難聴患者に新しい治療の選択肢を呈示できるようになった。

●日本人難聴患者にどのような原因遺伝子が関与しているか,また遺伝子解析の成果がどのように臨床にフィードバックされているかについて概説する。

原著

血清・中耳組織中IgG4高値を認めた中耳炎の1例

著者: 坂本龍太郎 ,   増田正次 ,   濱之上泰裕 ,   長濱清隆 ,   大原有紗 ,   尾川昌孝 ,   齋藤伸夫 ,   木村泰彰 ,   奥羽譲 ,   村上諄 ,   齋藤康一郎

ページ範囲:P.383 - P.390

はじめに

 IgG4関連疾患は,単一または複数臓器にびまん性あるいは限局性腫大,腫瘤,結節,肥厚性病変を認める疾患である1)。2001年にわが国から発信された疾患概念で2),2019年に国際的なIgG4関連疾患分類基準が発表され3),2020年にIgG4関連疾患包括診断基準改定が発表されたばかりである(表1)1)。病態に関しては,IgG4そのものに病原性はなく,IgG4の産生を促進する免疫環境に病原性があることが報告されはじめているが,未解明である4)。治療に関しても,副腎皮質ステロイド(以下,ステロイド)の全身投与に対する反応が良好なのが特徴の1つであるものの1),現状では免疫抑制薬,生物学的製剤,外科的切除などによる治療報告があり,エビデンスに基づいた治療ガイドラインがまだない。耳鼻咽喉科領域では唾液腺炎,頸部リンパ節腫脹として遭遇する機会があるが,中耳病変の病理組織像とともに中耳のIgG4関連疾患(以下,IgG4関連中耳炎)を報告した文献は少ない5〜16)

 耳科学の観点から国際分類基準で注目すべきことは,IgG4関連疾患として疑うべき疾患(entry criteria)として中耳病変が含まれていないことである3)。国際分類基準に中耳疾患が含まれていない理由の一端は,耳科領域における本疾患の報告数が少ないためと考えられる。

 今回われわれは,最新のIgG4関連疾患包括診断基準に照らすと本疾患の確診群に相当する中耳病変を,妊娠中の上気道炎を契機に発症した症例に遭遇したが,中耳病変の減量手術とステロイド局所投与により病勢が制御可能であった。これまで,IgG4関連中耳炎に対するステロイドの局所投与の有効性に関する報告はない。IgG4関連中耳炎の発症機転や治療方針に新たな知見を与える症例としてここに報告する。

COVID-19症例に対する気管切開術施行時におけるシングルユース軟性鼻咽喉鏡の使用経験

著者: 秋定直樹 ,   假谷伸 ,   牧野琢丸 ,   大道亮太郎 ,   梶原壮平 ,   安藤瑞生

ページ範囲:P.391 - P.395

はじめに

 耳鼻咽喉・頭頸部外科の診療範囲である口腔,鼻腔,咽頭喉頭,気管,中耳内耳に発生する感染症は多岐にわたる。結核や,現在社会的問題となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も,時により当科での対応を迫られる疾患である。患者が感染症を有する際,内視鏡下の病変観察時には感染対策への配慮が欠かせない。

 松塚ら1)は,軟性鼻咽喉鏡の使用後,洗浄前の20本のうち15本にて細菌を検出したと報告している。2016年に日本耳鼻咽喉科学会より「耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引き」2)(以下,内視鏡の手引き)が刊行された。同手引きには「内視鏡検査を行う部屋全体の感染対策を行う」「内視鏡の消毒は十分な洗浄の後に行う」「医療従事者の健康管理にも配慮する」に加え,「内視鏡の洗浄・消毒時にはマスク,手袋,ゴーグルやガウンなどの個人防護具を適切に着用し,換気に留意する」と記載されている。ただし,耳鼻咽喉科外来や病棟処置室に窓の設置がなく十分な換気ができない場合や,洗浄・消毒時に個人防護具が適切に使用されていない場合,医療従事者への感染伝播が危惧される。検査実施時はもちろんのこと,内視鏡の洗浄・消毒作業時においても感染対策が必須である。

 今回,感染防御に有用と考えられるシングルユース軟性鼻咽喉鏡〔Ambu® aScopeTM 4ライノラリンゴ(アンブ社)〕(以下,Ambu内視鏡)を使用したため,その経験を報告する。本報告に際し,岡山大学医療系部局研究倫理審査専門委員会での承認を得ている(研2010-026)。

お知らせ

第37回 耳の手術研修会

ページ範囲:P.363 - P.363

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目次

ページ範囲:P.305 - P.305

欧文目次

ページ範囲:P.307 - P.307

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.396 - P.396

次号予告/増刊号予告

ページ範囲:P.397 - P.397

あとがき

著者: 大石直樹

ページ範囲:P.400 - P.400

 3月の旅立ちの時期を経て,皆さまは4月の新年度をどのようにお迎えですか?

 この時期は,気持ちを新たに物事に向き合うにも良い時期ですが,この原稿を書いている現在,ウクライナへのロシアの侵攻が始まり,そのインパクトの強烈さに1か月前の冬のオリンピックは遠い昔の出来事と感じるようになりました。コロナ感染も各国で続いていますが,欧州ではコロナ関連の話題がニュースでまったく報道されないくらいに,ウクライナ関連が報道の中心だと聞きます。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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