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原著
COVID-19症例に対する気管切開術施行時におけるシングルユース軟性鼻咽喉鏡の使用経験
著者: 秋定直樹1 假谷伸1 牧野琢丸1 大道亮太郎1 梶原壮平1 安藤瑞生1
所属機関: 1岡山大学病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.391 - P.395
文献購入ページに移動耳鼻咽喉・頭頸部外科の診療範囲である口腔,鼻腔,咽頭喉頭,気管,中耳内耳に発生する感染症は多岐にわたる。結核や,現在社会的問題となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も,時により当科での対応を迫られる疾患である。患者が感染症を有する際,内視鏡下の病変観察時には感染対策への配慮が欠かせない。
松塚ら1)は,軟性鼻咽喉鏡の使用後,洗浄前の20本のうち15本にて細菌を検出したと報告している。2016年に日本耳鼻咽喉科学会より「耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引き」2)(以下,内視鏡の手引き)が刊行された。同手引きには「内視鏡検査を行う部屋全体の感染対策を行う」「内視鏡の消毒は十分な洗浄の後に行う」「医療従事者の健康管理にも配慮する」に加え,「内視鏡の洗浄・消毒時にはマスク,手袋,ゴーグルやガウンなどの個人防護具を適切に着用し,換気に留意する」と記載されている。ただし,耳鼻咽喉科外来や病棟処置室に窓の設置がなく十分な換気ができない場合や,洗浄・消毒時に個人防護具が適切に使用されていない場合,医療従事者への感染伝播が危惧される。検査実施時はもちろんのこと,内視鏡の洗浄・消毒作業時においても感染対策が必須である。
今回,感染防御に有用と考えられるシングルユース軟性鼻咽喉鏡〔Ambu® aScopeTM 4ライノラリンゴ(アンブ社)〕(以下,Ambu内視鏡)を使用したため,その経験を報告する。本報告に際し,岡山大学医療系部局研究倫理審査専門委員会での承認を得ている(研2010-026)。
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