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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科94巻7号

2022年06月発行

原著

ダブルルーメンチューブによる声門下狭窄の1例

著者: 中角美穂1 太田伸男2 舘田豊2 野口直哉2 山崎宗治2 鈴木貴博2 東海林史2 伊藤洋介3 長屋慶3 田畑俊治4

所属機関: 1東北大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科 2東北医科薬科大学病院耳鼻咽喉科 3東北医科薬科大学病院麻酔科 4東北医科薬科大学病院呼吸器外科

ページ範囲:P.591 - P.596

文献概要

はじめに

 声門下狭窄は炎症,長期挿管,気管切開後のカニューレ不適合,外傷など,種々の疾患に伴う一つの病態である。症例ごとにその成因や経過は異なり,さまざまな臨床像を呈するため,それぞれの病態に合った対応が必要とされる。しかし,周術期に発生すると致死的であり,迅速な診断と対応が求められ,耳鼻咽喉科医にとっても十分な理解を深める必要がある。

 近年,肺癌の増加と,呼吸器外科領域での気管支鏡による手術適応の拡大により,気管挿管時に分離肺換気を行うダブルルーメンチューブ(double-lumen tube:DLT)が広く用いられている。今回,70歳の女性に対するダブルルーメンチューブを使用した肺癌術後2日目に,声門下狭窄をきたし,さらに肉芽腫性病変による気道の完全閉塞が認められた症例を経験したので,若干の文献的な考察を含めて報告する。

参考文献

1)塚脇順子・他:気管内挿管後の喉頭合併症—喉頭浮腫,喉頭肉芽腫,反回神経麻痺.臨麻7:1413-1418,1983
2)新庄泰孝・他:気管挿管が原因で上気道狭窄を来し気管切開術を要した2症例.倉敷中病年報73:117-121,2011
3)伊藤洋介・他:二腔チューブ使用後,架橋状肉芽形成により声門下狭窄を来した1症例.麻酔62:946-948,2013
4)島垣智成・他:肺切除術後2日目に認めた声門下狭窄による心肺停止に対して救命できた1例.福岡医誌107:136-140,2016
5)林 美鈴・他:ダブルルーメンチューブを使用し術後3日目に声門下狭窄をきたした1例.日臨麻会誌38:19-24,2018
6)滝脇正人・他:二腔チューブ使用後に生じた声門下の狭窄例.耳鼻臨床111:547-550,2018
7)高橋亮介・他:ダブルルーメンチューブ挿管後に発症した声門下狭窄の1例.頭頸部外29:197-201,2019
8)米井彰洋・他:原発性肺癌術後3日目に高度な声門下狭窄をきたした1例.気管支学42:529-533,2020
9)勢井洋史・他:ダブルルーメンチューブによる気管内挿管後の高度声門下浮腫例.耳鼻臨床114:145-149,2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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