耳鼻咽喉科・頭頸部外科94巻8号

2022年07月発行

特集 ウイルス感染症に強くなる！—予防・診断・治療のポイント

《各論》

インフルエンザ／アデノウイルス感染症

著者： 齋藤雄一郎¹

所属機関： ¹斎藤クリニック

ページ範囲：P.627 - P.633

文献概要

POINT

●A型インフルエンザウイルスは，数十年に一度，不連続変異してパンデミックを起こす。

●現行のインフルエンザワクチンの主目的は，高い感染防御効果ではなく，重症化予防と間接的予防効果である。

●ヒトアデノウイルス（Ad）は，飛沫，接触により伝播し，型や種によって多種多様な症状を引き起こす。

●咽頭結膜熱は，小児に多くみられるが成人にも発症する。感染拡大防止には接触感染対策が重要である。

●Ad下気道感染症に対する経口Ad生ワクチンは，米国で認可されているが，使用は軍人（新兵）に限られている。本邦では認可されていない。

参考文献

1）竹田 誠：オルトミクソウイルス科．吉田眞一・他（編）：戸田新細菌学 改定34版．南山堂，東京，2013，pp643-653

2）Lau D, et al：Effectiveness of influenza vaccination in working-age adults with diabetes：a population-based cohort study. Thorax 68：658-663, 2013

3）Charu V, et al：Influenza-related mortality trends in Japanese and American seniors：evidence for the indirect mortality benefits of vaccinating schoolchildren. PloS One 6：e26282, 2011

4）Jefferson T, et al：Vaccines for preventing influenza in healthy children. Cochrane Database Syst Rev（2）：CD004879, 2018

5）細川直登：日常診療で活用可能な感染症の迅速検査．日医雑誌143：48-51，2014

6）斎藤雄一郎：耳鼻咽喉科医が行うインフルエンザの予防，診断，治療．日耳鼻121：1422-1423，2018

7）アデノウイルス感染症　2008〜2020年．IASR 42：67-69，2021

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12）薄井紀夫：アデノウイルス結膜炎の院内感染とその対策．日の眼科71：1331-1334，2000

13）厚生労働省健康局結核感染症課（編）：抗微生物薬適正使用の手引き 第二版．厚生労働省健康局結核感染症課，2019