文献詳細
原著
眼窩先端症候群が回復しなかった副鼻腔炎からの鼻性視神経症の1例
著者: 松山尚平1 成尾一彦1 阪上剛1 堀中昭良1 岡本倫朋1 北原糺2
所属機関: 1奈良県総合医療センター耳鼻いんこう科 2奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室
ページ範囲:P.775 - P.779
文献概要
副鼻腔炎は耳鼻咽喉科の日常診療において頻度の高い疾患であるが,時に眼窩や頭蓋内など周辺臓器に影響を及ぼし,眼窩内蜂窩織炎や眼窩内膿瘍,髄膜炎や脳膿瘍などの原因となることがある1,2)。眼痛や眼瞼腫脹,眼瞼下垂,複視,眼球突出,視力低下,頭痛,嘔気嘔吐などを初発症状とすることから,眼科や脳神経外科などを初診することが多い。視機能,特に視力障害があればきわめて迅速な治療が必要だが,他科受診後に耳鼻咽喉科へ紹介された時点ですでに視力低下が進行し,緊急手術をはじめとする懸命な治療にもかかわらず視力が回復しないこともある1〜6)。
われわれは,複視と視力低下が生じて複数の医療機関を受診後に奈良県総合医療センター(以下,当院)を初診となり,眼窩先端症候群を呈する急性副鼻腔炎からの鼻性視神経症の診断となった症例を経験した。視力低下発症4日目に緊急で鼻内視鏡手術を行ったが,視力ならびに眼球運動障害は回復しなかった。文献的考察を加えて報告する。
参考文献
掲載誌情報