内視鏡下鼻副鼻腔手術後のナゾポア®による鼻内パッキングの有用性
著者:
岡愛子
,
小池隆史
,
北村寛志
,
上斗米愛実
,
金井健吾
,
渡部佳弘
,
今西順久
,
野口佳裕
,
赤松摩紀
,
牧原靖一郎
,
岡野光博
ページ範囲:P.849 - P.853
はじめに
慢性副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis:CRS)は耳鼻咽喉科医が対応する疾患のなかでも頻度が高く,保存的治療に抵抗する症例では内視鏡下鼻副鼻腔手術(endoscopic sinus surgery:ESS)が選択される。近年ではマクロライド少量長期投与が無効な好酸球性副鼻腔炎(eosinophilic CRS:eCRS)の比率が高くなっており,手術が必要となる症例が増えてきている。特にeCRS症例では炎症が強く,また鼻洗浄など長期の術後管理を想定してⅣ型ESSを選択されることも多いことから,出血のコントロールや術後の創部管理も重要である。術後の鼻内パッキングの意義として,術後出血の予防と創傷治癒の促進が挙げられるが,圧迫感や痛みなどの不快感や感染が問題となる。以前は抗菌薬含有軟膏を塗布したガーゼを挿入することが一般的であったが,生体分解性や吸収性の素材が開発され,上記の問題が解決されつつある。当院ではESS後の鼻内パッキングにナゾポア®(日本ストライカー社)を使用しており,その安全性と有効性を検討した。