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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科95巻10号

2023年09月発行

文献概要

原著

バイザクトによる扁桃摘出術の検討—従来法との比較

著者: 平松憲1 宮嶋宏樹1 坂口正範1 茂木英明1

所属機関: 1相澤病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.858 - P.862

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はじめに

 口蓋扁桃摘出術は耳鼻咽喉科診療で一般的に広く行われており,若手の耳鼻咽喉科医師が初期に修得する代表的な手術手技の1つである。扁桃摘出術には,器具としてメスや扁桃剝離子などのいわゆるcoldデバイスを使用する方法,電気メスやバイポーラなどのhotデバイスを使用する方法など,さまざまな術式が存在する。近年では,hotデバイスの1つであるコブレーター(スミス・アンド・ネフュー社)による扁桃摘出術を行う施設もみられ,低い温度で切除し術後出血や疼痛が少ないとされているが,多くの施設で使用されるほど一般化された器具とはいいがたい。現在,2021年に本邦で発売となった血管シーリングシステムによる扁桃摘出デバイス(BiZactTM:メドトロニック社)(以下,バイザクト)が注目されている。欧米ではすでに2018年頃から臨床で使用されており,多くの報告があるが,本邦での臨床評価はこれからである1〜3)。頭頸部悪性腫瘍や甲状腺などの手術において広く使用されているLigaSureTM(メドトロニック社)(以下,リガシュア)と原理的には同一のシステムであり,こちらは出血量の減少や手術時間の短縮などに寄与していることが広く認知された器具である4)。バイザクトはリガシュアよりシャフトが長いハンドピースを使用するため,狭い口腔内での操作,扁桃摘出術に特化したデバイスとなっている(図1)。

 諸外国からの有用性についての報告が多いことから,当院ではバイザクトによる扁桃摘出術を2021年7月以降の扁桃摘出術患者の全症例において施行している。今回,手術時間や出血量,術後の有害事象や入院日数について,従来の手術方法とバイザクトによる扁桃摘出術を行った症例の間で比較検討した。

参考文献

1)Besser G, et al:A novel electrosurgical divider:performance in a self-controlled tonsillectomy study. Eur Arch Otorhinolaryngol 279:2109-2115, 2022
tonsillectomy. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 158:111155, 2022
3)Stepan L, et al:Health related quality of life T-14 outcomes for pediatric Bizact tonsillectomy. Medicina(Kaunas) 57:480, 2021
の有用性の検討.内分泌外会誌38:28-31,2021
5)杉田 玄・他:コブレーション扁桃摘出術の有効性と医療経済的検討.耳鼻臨床105:989-997,2012
6)土井 彰・他:口蓋扁桃摘出術:術後出血例の検討.口咽科20:305-310,2008
7)菊池 恒・他:コブレーションシステムを用いた口蓋扁桃摘出術における術後出血例の検討.口咽科25:85-89,2012
8)三橋友里・他:口蓋扁桃摘出術における術後出血の検討.口咽科30:129-133,2017
9)Windfuhr JP, et al:An update on tonsillotomy studies. HNO 65:30-40, 2017
10)東 貴弘・他:4種類の機器による扁摘の比較検討.耳鼻臨床100:743-746,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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