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原著
バイザクトによる扁桃摘出術の検討—従来法との比較
著者: 平松憲1 宮嶋宏樹1 坂口正範1 茂木英明1
所属機関: 1相澤病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.858 - P.862
文献購入ページに移動口蓋扁桃摘出術は耳鼻咽喉科診療で一般的に広く行われており,若手の耳鼻咽喉科医師が初期に修得する代表的な手術手技の1つである。扁桃摘出術には,器具としてメスや扁桃剝離子などのいわゆるcoldデバイスを使用する方法,電気メスやバイポーラなどのhotデバイスを使用する方法など,さまざまな術式が存在する。近年では,hotデバイスの1つであるコブレーター(スミス・アンド・ネフュー社)による扁桃摘出術を行う施設もみられ,低い温度で切除し術後出血や疼痛が少ないとされているが,多くの施設で使用されるほど一般化された器具とはいいがたい。現在,2021年に本邦で発売となった血管シーリングシステムによる扁桃摘出デバイス(BiZactTM:メドトロニック社)(以下,バイザクト)が注目されている。欧米ではすでに2018年頃から臨床で使用されており,多くの報告があるが,本邦での臨床評価はこれからである1〜3)。頭頸部悪性腫瘍や甲状腺などの手術において広く使用されているLigaSureTM(メドトロニック社)(以下,リガシュア)と原理的には同一のシステムであり,こちらは出血量の減少や手術時間の短縮などに寄与していることが広く認知された器具である4)。バイザクトはリガシュアよりシャフトが長いハンドピースを使用するため,狭い口腔内での操作,扁桃摘出術に特化したデバイスとなっている(図1)。
諸外国からの有用性についての報告が多いことから,当院ではバイザクトによる扁桃摘出術を2021年7月以降の扁桃摘出術患者の全症例において施行している。今回,手術時間や出血量,術後の有害事象や入院日数について,従来の手術方法とバイザクトによる扁桃摘出術を行った症例の間で比較検討した。
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